実は私は、生まれつき障害を持っています。
見た目は普通、体力的にも至って健康です。
街を歩いていても、わかる人は恐らく皆無でしょう。しかし、私は紛れもなく「障害者」です。
私は「色がわからない」のです。
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前回の私は色がわからない。-色覚異常コラム①色覚異常ってどんなもの?では、色覚異常が身近な障害であることや、色覚異常者の見え方をご紹介しました!
「んで、日常生活では何に困るの?」
ということで、今回は私の実体験に基づき色覚異常者の生活を伝えしたいと思います。
目次
日常生活で困ること
色覚異常の見え方について、前記事で例を挙げさせていただきましたが、実生活ではどんなことに困るのでしょうか?
結論から言うと、生活が困難なほどには困りません!(笑) 例えばリンゴの色がわからなかったとしましょう。しかしリンゴかどうかの見分けはつくし、リンゴが赤色だということは経験上分かります。
大抵の色は「鮮やかさ・明るさ」が異なるため、見分けることは可能です。色がわからなくても、何とか対応できるのです。
困るのは「そのものの色がわからないといけない場面」です。
*前記事同様、あくまで一例として参考にしていただければと思います!
・待ち合わせ
A「駅前の赤い看板の下にいるね!クリーム色の上着来てるから!」
私「えっと…その看板、なんて書いてある?」
A「え?○○屋だけど…?」
私「わかった!探すから待っててね!」
⇒色で場所を指定されると困ってしまいます。自分が見ているものの色が何色かわからないため、頑張っても探しようがないのです。
・トイレの個室のカギ
飲食店などでトイレに寄った際。
目の前のドアには当然鍵があり、小窓の色が空きかどうかを教えてくれる。しかし、その色が赤か緑かわからない…。
私はいつも、黙ってノックをする。
⇒使用中か否か色で教えてくれますね。「空・閉」など記載があればいいのですが、それがない店も多いです。
・授業中
先生「地図帳のピンクがA国、水色がB国で…」
「Aを赤色に、Bを緑色に塗ってください。」
「折れ線グラフの黄緑がA社、オレンジがB社の業績で…」
私 「…。(ペンを置き、そっと教科書を閉じる。)」
⇒まれではありますが、どれも実際にあったことです。授業後に先生に質問すればいいだけの話なのですが…その場では全く理解できないし、教えてもらっても理解にちょっと手間取ります。
・服選び
雑誌「今年の流行は○○カラーのコーディネート!」
―お店にて
私 「どれが○○カラーなんだろう…?」
⇒服のカラーコーディネートがよくわかりません。自分がわからないのはまだいいのですが、大切な人の変化に気づいてあげられないのは申し訳ないです。
・焼肉
私「…(箸をもって様子をうかがう)」
私「…」
私「…」
私「…この肉、焼けてるかな?」
⇒見え方の例でも挙げましたが、焼け具合がわかりません。よく友人に聞いてしまうのですが…どうかお許しください。
カラーユニバーサルデザインって?
ここまで、色覚異常で困ったことをいくつかご紹介しました。色覚バリアフリーとは、簡単に言うと、こういったことを防ぐための「色覚異常者に優しいデザイン」のことです。
では、具体的にどんなデザインがわかりやすいのでしょうか?
折れ線グラフを例に見てみましょう!
工夫のポイントを説明していきますね!
Point. 1 配色
色覚異常者にも区別がつきやすい配色というのもあるのですが、一般の方がそれを理解するのは大変なことです。重要なのは「色に頼らず形で変化をつけること」です!
Point. 2 凡例
グラフには判例がつきものですが、凡例と同じ色をグラフ内で探すのが一苦労…。可能であれば、グラフ内に書き込んでしまうのがベストです!
続いて、文字の書き方です!
Point. 3 背景とのコントラスト
重要箇所の背景を色付きするのはよくあることですが、その際に文字と背景の色のコントラストを考えてください。簡単に言うと、「白黒コピーをしてもはっきりわかる色合い」にすることです!
身近なカラーユニバーサルデザイン
実は、私たちの身の周りにも色覚バリアフリーを考えて作られているものがたくさんあります。代表的なものをいくつかご紹介します!
・文房具
カラーペンや絵の具などに、「赤」などの色名が書いてあるものが多いですよね。私たちには「赤を塗りたいのに、どれが赤色のペンなのかわからない」といったことがあります。
・リモコン
テレビのリモコンで一般的になった赤、青、黄、緑のボタン。このカラーボタンの横に、小さく色名が書かれているのも同じ理由からです。
また「緑→正常、赤→異常」を「点灯→正常、点滅→異常」という工夫もあったりします!
・駅の案内標識
都内など路線の多い駅では、案内標識がマークで簡略化されています。それらも、もとは色分けだけだったものが、マークにアルファベットを追加したものになりました。
いかがでしょうか?
どれもちょっとした工夫でしかないのですが、それが私たちにとっては非常にありがたいことです。
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今回は、色覚異常者の日常についてまとめてみました!目に見えているものも「視覚」という感覚でしかありません。感覚は人それぞれ違い、感覚を正確に伝えることは非常に難しいことです。
このコラムを通して、周りにも色覚異常者がいるんだという意識が、皆さんの頭の片隅に少しでも生まれていただければ幸いです。
次回は色覚異常の私が、正常な色覚を体感し、そのレポートをお届けしたいと思います!お楽しみに!
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