こんにちは、ヒナです。今回の記事はUNMIXビューティークリエイター吉川康雄さんのインタビューです。「どんな女性も美しい」「自分のことをもっと愛せるようになるコスメ」をプロデュースしている吉川康雄さん。女性本来の美しさを引き出す吉川さんが手がけるコスメブランド「UNMIX」には、「混じり気のない」という意味が込められており、吉川さんの愛がこもったプロダクトを私たちに提案します。この記事では吉川さんが「どんな女性も美しい」と考え、伝え続ける理由をお伺いしました。
後編の記事はこちらです。
吉川康雄さん
1959年、新潟県生まれ。 1983年より東京でメイクアップアーティストとして活動をはじめる。ファッション誌や広告制作で10年以上活躍後、1995年に渡米。半年後、 VOGUEの撮影に急遽代役として呼ばれ、その後のキャリアを決定づけるファッションエディター、トップフォトグラファーと出会う。各国のモード誌のカバーを含むファッション撮影、広告、コレクション、セレブリティのポートレートなど幅広く活躍。化粧品ブランドCHICCAのプロデュースもしていた。美容情報サイト「unmixlove」を立ち上げ、取材、執筆もこなす。著書に「うまれつき美人に見せる」(ダイヤモンド社)、「褒められて嬉しくなるキレイの引き出し方」(宝島社)、「いくつになってもキレイ!になれる」(世界文化社)などがある。
UNMIX 公式ホームページ:https://unmixbeauty.com/
UNMIXの原点
自分を肯定する
どんな自分も否定しない
「どんな女性も美しい」と伝え続ける理由
記事②
自分の気持ちを変えられるのは自分だけ
自分を大切にするためには練習が必要
心を刺してその傷を癒すのが美容?
愛に溢れたUNMIXのプロダクト
UNMIXの原点
ーUNMIXはどのようにして始まったブランドなのでしょうか?
UNMIXは以前僕がブランドクリエイターをしていたCHICCAの続きだと思っています。多くのユーザーやメディアがCHICCAの時から僕の考えに共感してくれ、それに応えるような形でUNMIXがスタートしました。コロナが始まる前にUNMIXの企画が始まっていたこともありますが、当初の計画は変更せず、あえてリップを最初のプロダクトとして出しました。
ーUNMIXのリップはどのような考え方からできたものなのでしょうか?
UNMIXは長年女性に化粧する仕事をしてきた僕の経験から得た「人の肌は美しい」という考えから始まっています。今多くの人がしているメイクは肌を隠したり、化粧品で塗り替えたりするものだと思います。単にキャッチーな言葉を作りたくて「人の肌は美しい」という言葉を使っているのではなく、人の肌を見続けてきて心からそう感じているんです。人の肌の健康状態の良い状態やエモーションで変わる雰囲気って本当に美しいんです。唇も、瞼も、全て。その美しい全てをメイクで隠すのではなく魅せる、という考えがベースとなっています。
ー吉川さんの経験からそのような思いがあるのですね。
ブランドとして勝手にメッセージを作って一方的に投げかけるのではなく、僕自身がメイクアップアーティストとして女性の肌をたくさん見て触れて、強く感じたことをプロダクトにしています。これまで数えきれないほどのメイクを女性にしてきましたが、毎日同じメイクをただ誰かにするのではなく、それぞれの女性に合わせたメイクを考えることを大切にしてきました。だから、どの女性も本当に綺麗だと自然に思うようになりました。
ー社会では「美の基準」があり「美しいとされる顔」があると感じます。目が大きい方が可愛い、肌は白い方が綺麗、痩せている方が美しい、のような。吉川さんはそれに対してどうお考えですか?
言葉で基準を決めて言ってしまうのって本当に簡単なんです。「何が美しいのか」を決めてあげた方がみんなのすべき努力が単純化されてわかりやすくなるから。「美しさ」の基準を決めてそれを目指すことで美容業界は成り立ってきました。でも僕は「何が美しいか」を決めてしまうのはおかしいし、努力は基準に合わせるためのものではなくて、本来の自分を肯定するためにあるべきだと思います。
ー「美の基準」はとても狭くて窮屈だと感じます。
僕はメイクを通してみんなを同じ顔にしたくありません。せっかく毎日違う女性をメイクをするのに、同じ顔にするなら、モデルを変える意味がないじゃないですか。メイクアップアーティストも「自分のメイクスタイル」といって皆、同じ感じに仕上げる人もいます。メディアがファンデーションを塗りなさいって言うから、多くの人はファンデーションを使うけど、どうして元々美しい人肌をファンデーションで不自然に隠しちゃうのか、別に塗らなくてもいいのにって感じてしまう。何が綺麗なのかをちゃんと感じられたら多くの人はそういうメッセージにも流されずにいられるのかもしれないって思う。単に化粧を乗せるんじゃなくて、モデル一人一人の気持ちや性格も含めて初めて、その人の表情になるんです。だから、そういう内面的な要素を含めた「その人らしさ」をメイクでさらに磨き上げたりストーリーに組み込んだりしてルックスを作っていくのが僕の仕事だと思っています。UNMIXの準備をするのと同時に、unmixloveというメディアを作り、それぞれの人に魅力があることを発信してきました。
僕の考えるありのままの美しさを発信していると、きっと見ている人は「結局じゃあ何を使ってメイクすればいいんだろう」と思うかもしれません。言葉を伝えるだけだと、メッセージがただの励ましで終わってしまうと思い、自分のテクニックや思いを全て込めたプロダクトを作りました。僕はその人自身を生かしたメイクをすることができるから、その体験を生かしてありのままの美しさを実現できる、僕が女性にするメイクと一緒の完成度のものを一般の方が実現できるプロダクトを作らなきゃと思って。
自分を肯定する
ーメッセージを言葉として発信するだけではなくその思いをプロダクトにすることでより伝わりやすいものにするということですね。
プロダクトを作ることで「UNMIXのプロダクトを使えば僕がメイクしたみたいになるよ」と非常に話がシンプルになるんです。UNMIXのリップを実際に使ってみると自分の皮膚の美しさに気づくことができると思います。多くの化粧が「化ける」とか「補正する」という機能に焦点を当てられていますよね。でも、そこにフォーカスしすぎると人間の肌そのものは綺麗じゃないという意味に近くなってしまう。肌の色がだめ、毛穴がだめ、皺(しわ)がだめって。人間が当たり前に持っているものが全部だめなら、隠すしかない。それって人間そのものの存在を否定してしまう考え方じゃないですか。そうではなくて、存在を肯定する。それって励ますのとは違うんです。「大丈夫だよ!変じゃない!」みたいなものじゃなく、「こういうのもあり」っていう肯定なんです。生き物としての変化、姿形が違っていることも受け入ることができたら、それを消し去って作り変えなくてもメイクを楽しむことができると思います。
例えば、自分がAの顔に生まれた時にBの顔の方が好きだって思うと、その瞬間に不幸になってしまう。自分の理想の顔には一生なれないことが明らかなわけですし。ほとんどの女性がそんな経験があるんじゃないかな。全ての人が可愛かったり、綺麗だったり魅力があるのにそれに気づけない。いろんな経験から、つい自分を否定してしまって、「私はブス」とか「私は可愛くない」って自分につける×が増えていく。◯×を付けて×を直させようとするためにある美容がほとんどです。女性にとって美容ってすごく身近だけど、そういう考え方が身近なものとして存在し続けるのは危険だと思う。
モデルさんがどうしてあんなに美しいかというと、プロたちに自身の美しさに気づかされてもらっている人がすごく多いからなんです。自分が嫌いだと思っているところをプロの人たちが魅力的だと褒めたり、素敵だと言われたり。仕事を通して毎日多くの人に自分の魅力を考えさせられ、実際に美しい自分の写真を見せられる。そうすると、たとえ自分がこれまで綺麗だと思ってきたものと全然違ったとしても、自分ってこんなふうに綺麗なんだって気づくことができるんです。一般の人だと、モデルの人のようにそういう機会があまりないから、自分の美しさに気づけずに憧れの誰かに外見を似せようと必死にもがく。そうじゃなくて、自分の美しさに気付くチャンスがもっと世の中にあってくれたらいいのにと思います。
どんな自分も否定しない
ー吉川さんの過去のインタビュー記事を読ませていただいた時に「自分の特徴を良い言葉で表現してみる。たとえば”目が細くてキツイ”というのは、”目が涼やかでシャープな強さをもっている”と同義です」という言葉が非常に印象的でした。
言葉で◯×を付けるのって簡単でしょう。例えば「あの人性格いい」とか「あの人は性格悪いよね」って。どうして◯×の2つに分けたがるんだろう。「私って性格悪いの」って言った瞬間に自分の性格を否定しちゃうよね。そうじゃなくて「性格のどこが悪いのか」を考えて、角度がちょっと変わればそれは「いいところ」に見えてくるかもしれない。それを「性格が悪い」って言った瞬間、変えなきゃいけないものになり、自分を否定し始める。そうじゃなくて一切否定しない言葉を使うように心がけてみる。人を否定しない言葉を使ってみたら、いろんな人がいることに気づけるんじゃないかな。ハキハキできない人に「お前はもっとハキハキしろよ」って言うより、静かに物事を考えられる人って言うと短所だと思っていたところが、実はその人のいいところと同じだったことに気がついたり。
自分自身を肯定できなくて悩むのは若い人だけじゃないから、そういうことって多くの人にとって一生のテーマになることなのかなって思う。自分のことを「悪くないな」って思えるようになるにはどうすればいいんだろう、って自分で自分の色んな魅力をどんどん探し続けなきゃいけない。
ーみんなが「どうやったら美しくなれるのか」を考えて美しいと言われている形を目指すために努力するよりも、「どうやったら自分のことを肯定できるか」を考えて肯定するために努力した方がいいですね。
そうですね。例えば、好きな人のために変わろうと一生懸命努力しようする人もいるけど、自分らしく生きている、自分を楽しんでいる人たちって外から見るとすごい魅力的に見えます。そういうことが大切なのかなって。長く人と付き合うには内面的な魅力が大切になってくると思う。誰かの好みに近づこうすることは、重荷になっていくし自分を完全に変えることなんてできません。自分らしく笑顔で自分の生活を楽しめることがすごく大切だと思っています。
「どんな女性も美しい」と伝え続ける理由
ー吉川さんが「どんな女性も美しい」とさまざまなメディアやプロダクトを通して伝え続けているのはなぜですか。
「色んな人がいてその人たちを否定しない」ということを伝えるためかな。全ての人を好きになる必要はなくて、ただ人によって色んな魅力があることをわかっているだけでいいんです。◯と×で人を評価しない。他人のいいところを観察することは、自分自身を肯定することにつながります。例えば「鼻が低いからだめ」なんじゃなくて「自分の小さい鼻がかわいいよね」みたいに。言葉を変えただけで魅力を発見できることもあるんです。
僕のメッセージですぐに人は変わらないと思ってるからこそ、僕は言い続けているんです。自分のことを綺麗だと思えない時は、誰が何を言っても頭に入って来なくて自己否定を繰り返します。これ以上ないくらい苦しくなって初めて言葉がすっと入ってきたりする。なんの苦もなく自己肯定できる人なんて、ほとんどいないと思うからこそ、ずっと言い続けなきゃいけない。
自分を肯定することに向き合い続けなければいけない。外側を飾るということは自分をどう見るかということでしょう?だから、「たかが化粧」ではないと思うんです。そこに色んなことを考えさせられる。自分が最後まで自分を楽しむためには自分をずっと肯定していく努力をし続けなければいけない。僕はメイクを通してそれを伝えたい。10人に伝えた時に、そのうちの1人にメッセージが届いていたらそれでいいんです。
ーそのような考え方はいつ吉川さんから生まれたのでしょうか?
メイクを仕事にし始めた当時は、このような考えはありませんでした。僕自身も自分のことを肯定できていなかったし、自信もなかった。メイクの作品を通して僕の感性がこんな感じだとメディアで紹介されて、仕事になっていくのですが、それがすごく最初は辛かった。自分の作品が世の中に出ることも自信がなかったからすごく恥ずかしかった。今思えば、自分に対して自信を持っていなかったことがこのコンセプトの始まりだったのかな。自分の感性を表現して女性のメイクをしているうちに、だんだん自信がついてきました。
そして、自分の経験を振り返った時に「自分らしさ」が見えてきて。「自分を大切にする」ということは「他人を否定しない」ということに非常に近いと気づいたんです。自分を否定する人って簡単に他人のことも否定しちゃう。自分を肯定し人を肯定する。その人が自分にとって居心地が良くないからと言って×というわけじゃない。
ー吉川さんも自分に自信を持てなかった時期があるとのことですが、自信が持てるようになったきっかけはなんですか?
少しずつ勇気を出して自分を表現したことが誰かに「悪くない」と言われたり、周りの良い反応を見た時にすごく嬉しくなりました。そういう意味では誰かが自分を評価してくれたことが嬉しかったのかもしれない。急にできるようになることはないからちょっとずつ勇気を出して自分を認めて行くしかないんです。
ー他人に肯定されることで、自分で自分のことを肯定できるようになるのですね。
自分が誰かに否定されるとその人に肯定されるために頑張る。でも他人がそれを求めているかというと、意外とそんなこともないって思ったことがあって。色んな人がいて自分は自分なので、自分で自分をケアする必要があるんです。まずは自分の顔に◯をつけられるようになるとか。
今回の記事はここまでです。次回は自分を愛せるようになるためのマインドセットやプロダクトにいついて詳しく伺いました。
記事の後編:UNMIX吉川康雄さんインタビュー②自分のことをもっと愛すためのマインドセットと愛のこもったプロダクト紹介
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