Let Yourself Be Yourself

【対談前編】美しさは自分で決める!ボディポジティブについてとことん考えてみた

海外でよく耳にする「ボディ・ポジティブ(Body Positive)」という言葉。これは社会が押し付ける「美しさ」から外れ、自分のありのままの体型を受け入れ愛するという考え方を意味しています。

10代女性の93%が、容姿に「自信がない」と答えている日本(参照:Buzzfeed)では、Body Positiveはまだあまり知られていません。「肌が白い=美しい」「ウエストが細い=美しい」などの、「女性/男性らしい美しさ」が社会の価値観として共有され、その基準に縛られている人が多いことが原因にあります。

ガクセイ基地では、9月21日に国連財団イニシアチブのGirl Up Tokyoさん、一般社団法人ATHENA代表兼フィットネストレーナーとしても活躍されている宇野唯奈さんをお招きし、ジェンダーとボディポジティブについて対談をしました。(対談の動画はこちらから)

 

対談スピーカー紹介

 
宇野唯奈さん
 
高校時代にジェンダー問題をはじめとする社会問題に興味を持ち始め、上智大学 国際教養学部において政治学学士号取得、ロンドン大学においてジェンダー学修士号を取得。

「性別の固定概念に縛られず、人々が自由な選択をできる社会」を目指し取り組む一般社団法人 (申請中) 「ATHENA」の代表理事、そして社会問題に特化したオンラインサロン 「Evolve」の設立者として活動。
フィットネストレーナーとしての顔も持ち、ボディ・ポジティビティやフィットネスを通した女性のエンパワーメントにも取り組む。

 

Girl Up Tokyo

国連基金によるGirlUp 運動から生まれた、東京中心に活動している団体。女の子のエンパワーメントとジェンダー平等を目指し、SNSを通して情報発信・拡散、ワークショップ開催などの活動を行う。




そそさん(写真左):大学4年生 中国出身 2020年、身近に感じたジェンダー不平等を変えたいと思いGirlUpTokyo を立ち上げました。女性にまつわる全ての問題に関心を持っています。

れいりさん(写真右):高校3年生。GirlUpTokyoではライターチームのリーダーとして活動しています。主に、SRHRや女性の貧困問題、男女の賃金格差に興味を持っています。個人では、「東京都の公共施設のトイレに生理用品を設置してください!」というオンライン署名を立ち上げました

 

ガクセイ基地から
桃子:ガクセイ基地代表。現在進行中のプロジェクト「Let Yourself Be Yourself」企画担当。

 

 

Q:「美しさ」に対する固定観念に対して、疑問を抱くようになったのはいつから?

唯奈さん:

私がBody Positiveに興味を持ったのは、15歳のアメリカのフロリダ州に留学した時でした。私は元々身長も低く華奢な体型だったので、日本に住んでいた頃は「唯奈ちゃんは細くていいね」とよく言われていました。しかし逆にアメリカでは現地の標準体型よりも自分がかなり細かったので心配されることの方が多く、それから私は自分が不健康なんじゃないか、自分の体型に何か問題があるのではないかと自信をなくしてしまいました。自分の身体に対してポジティブになれたのは、アメリカでやっていたラクロスの日々のトレーニングがきっかけでした。身体を動かすことで心身ともに自分が強くなることを実感出来たんです。

またそれと同時に自分が今まで持っていた美の基準がとても広くなったのもアメリカに行ってからですね。アメリカだと男性が好む女性の体型が本当に幅広いんです。日本だと太っているとカテゴライズされてしまう体型でも、アメリカでは「こういうボディが俺は好き!」みたいに話している方もたくさんいて(笑)本当にどんな体型でもいいんだと思いました。

逆に細いからと言って全員がそれを良しとしているわけじゃないことも知りました。現地の高校で出会ったジャマイカ人の友人がいるんですが、彼女はとてもスレンダーな体型です。しかし彼女は「ジャマイカではもっとメリハリのある体型が望まれているから、自分の身体は好きじゃない」と言っていました。文化によって美の基準は違うし、何が憧れの体型とされているのかが違うからこそ、自分が今そこにいる環境の基準で悩むのってすごくもったいないなと思いました。

そそさん:

私は唯奈さんとは逆で小さい頃はぽっちゃりした体型でした。そのせいで「周りからちょっと太っているよね」とか「もっと痩せた方がいいんじゃない」と言われ続け、自然と「細い方がいい」という思い込みが刷り込まれました。高校に入ってからもその価値観は抜けずに、痩せたいの一心で減量をしました。しかしその結果、私はハッピーになれたかというとそうではありませんでした。なぜなら「ちょっと痩せたね」とか「次は顔痩せしたらよくなるんじゃない?」という周りからの声が止まらなかったからです。

時を経て、人に合わせて自分を変えるのではなく、自分自身がどうありたいのか、どんな姿が自分にとって心地よいのかにフォーカスするようになったことで、美の基準が周りではなく自分ベースになりました。

れいりさん:

私もそそさんと同じ感じです。小さい頃はガタイがよく、太めだと思われることが多かったので「細い子はいいなあ」と思っていました。特に小さい頃からモデルさんと女芸人を比べて、女芸人の方を「ブス」とか「デブ」など悪く言うメディアを目にしていました。それを見て「私は悪口を言われる側の人間だ」と思い込んでいました。なので小学生の頃からマスクをずっとつけていたりとか、中学生になったら痩せなきゃと思って無理なダイエットをして体調を崩したりもしていました。ある日たまたまTwitterの広告で韓国の*脱コルセット運動というフェミニズムの運動について情報が流れてきたことがあり、それをきっかけに女性だからという理由で美しくいる必要はないということに気づきました。そこから少しずつ自分に自信が持てるようになりました。

*脱コルセット運動韓国の「第4の波」フェミニズムで初めて触発され誕生した6B4Tと言うラディカルフェミニズムを支持する韓国人女性達からなる、社会運動の一種である。社会から求められる”女性らしさ”から自らを解放することを目的とした女性による運動。(引用:脱コルセット- Wikipedia)

 

Q:「女性の美しさとは、こうでなきゃダメ」という価値観が、日本ではどのように再生産されているのか?

唯奈さん:

子供も見るようなメディア(ゴールデンタイム中のテレビなど)で芸能人の容姿をバカにすることにびっくりします。私は今までアメリカとイギリスに住んだことがあるんですが、日本のようなメディアはどちらの国でも見たことがありません。あとはYoutubeやTiktokの広告など若い人向けのメディアでも、女性にダイエットを押し付けるようなメディアが流れてきます。そのような広告が毎日にように続いてしまうと、自分の中で「この体型が良い」「この体型は好まれない」という価値観が作られてしまうので、日本のメディアのセンサーシップ(検閲)はもっと何かできないのか、とすごく思います。

そそさん:

本当にわかります。あと女の子はそのようなメディアを見て作られた価値観をもとに会話でも価値観を再生産している場合もすごく多いと思います。私は、女の子の友達と一緒にいると絶対に一回はダイエットの話題になります。「食べ過ぎだからダイエットしなきゃ!」とか。

私が今まで見た広告の中で一番衝撃だったのはダイエット酵素の広告です。その酵素を販売している会社が「身体の露出度が高い服を着ている女性についてどう思うか?」というアンケートを男性にとっていたんですが、結果40%くらいの男性が「太っている女性は露出する服装は控えた方がいい」と答えていました。それを見てびっくりしたし、なぜこんなアンケートをわざわざとるんだろうと悲しくなりましたね。

桃子:

数字が入っていると信じたくなくても信じてしまいそうになりますよね。あたかも「実はこれが真実なんです!」みたいに私たちに伝えてくる感じというか。れいりさんはどうですか?

れいりさん:

私もそそさんと同じです。私は実際に脱毛の煽り広告を見て「脱毛しなきゃ」と感じて脱毛を始めた身なので、絶対にそういうのはYoutubeやテレビや私たちが毎日接触するメディアに流れてきます。

 

あと私が最近びっくりしたのは、ファッション雑誌の専属モデルの方がダイエット企画をやっていたことです。その方は標準体型よりも痩せ型のように見えるのにもかかわらず、自分のことを「太った」と認識していました。ファッション雑誌の専属モデルといえば小学生や中学生の女の子もよく目にする機会が多いと思うのですが、減量することを違和感なく受け止めてしまうことにつながりかねないと思いました。やっぱりこういうメディアの力が一番私たちに影響しているなと感じます。

 

Q:日本の美の基準は何が問題?

唯奈さん:

問題って言うとありふれすぎているんですけど、美の基準が狭すぎる、多様性がゼロに近いことが根本的な問題なんじゃないかと思っています。私はフィットネストレーナーとして女性専用のジムで働いているんですが、来てくださった方たちにジムに来たきっかけを聞いています。するとほとんどの方がダイエット目的なんですよね。でも私が見る限り明らかに痩せているし、減量する必要はないんじゃない、そのままでも十分美しいのに、と思います。

これは肌の色でも通ずることがあります。例えば日本では白い肌がより美しいとされていつつも、最近は焼けている方が健康的で美しいと言われることもあります。でもそのトレンドが仮に流行ったとしても、反対に焼きたくても体質的に肌が焼けない方などにとっては、肌が白いことが不健康だと思われるんじゃないかとコンプレックスを持ってしまいかねません。本当は焼けた肌も白い肌も、どんな肌でも美しいんです。でもほとんどの人がそうは話さないし認めません。基準が狭い上に、Body Positiveもまだごく一部の人しか話していないんですよね。なので、日本の美の基準が狭いこと、そしてそれが問題視されていないことが一番の問題です。これを解決するにはコツコツできる人が率先して情報を共有していったり、今回のようなインスタライブや周りの人と話して気づきを広めていくことが大切だと思います。

そそさん:

私も美の基準の狭さにはとても問題を感じています。特にファッションで言うと、日本ではまだサイズを幅広く展開していないお店が多いです。もっといえば「フリーサイズ」と称してワンサイズしかない服があったりとか。店頭に置いてあるマネキン人形もほぼサイズは統一されています。これは科学的に証明されているらしいんですけど、マネキンの体型と実際の人の体型を比べると、マネキンの体型は不健康で危険な体型なんです。なのでそれ以外の体型の人はマネキンを見てもあまり参考にならないし、逆に無理に参考にして「痩せなきゃ」と思ってしまうかもしれません。もちろん今は*リアルサイズモデルがいたり、衣服やモデルのサイズを幅広く展開するブランドがあったり、変わってきてはいると思いますが、それでもまだまだだと感じています。

*リアルサイズモデル:ありのままの姿で下着を着こなし、その人自身の魅力を発信することで、ポジティブな気持ちを伝えるモデルのこと。 モデルに限らず、「女性は痩せているべきだ」とする固定観念への反発が、リアルサイズモデルを誕生させました。
(引用:「リアルサイズモデル」とは何か?Tiger Lily Tokyo|タイガーリリートーキョー)

 

桃子:確かに太めのマネキンや背が低めのマネキンは見たことがないですね。今聞いていてハッとしました…。

 

続きは後編で!

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