サービス/インフラ

【『漫泊』特集】一晩中漫画体験を提供するホテル!?〈第1弾〉

世界レベルで有名な本の街、神保町で
一晩中漫画体験」を提供するホテル
マンガ アート ホテル トーキョー(MANGA ART HOTEL, TOKYO)」。

株式会社dot共同代表取締役の御子柴 雅慶(ミコシバ マサヨシ)さんに取材させていただきました!

株式会社dot
御子柴さんと吉玉泰和(ヨシタマ ヤスカズ)さんが共同設立した、ホテルのオペレーションをする会社。MANGA ART HOTELだけでなく、他のホテルや不在型簡易宿泊所などの宿泊施設の運営管理も日本全国450床行う。
集客、在庫管理、イールドマネジメント、旅館業の許可獲得、インテリア・内装のデザインなどもしている。
元来インバウンド事業にも力を入れており、今回新たに自社ブランドホテルであるMANGA ART HOTELが生まれた。

イールドマネジメント
顧客の料金支払い意欲に応じて販売価格と販売量を管理(マネジメント)し収益(イールド)を最大化させる経営戦略の一つ。

 

ー本日はよろしくお願いします!まずはMANGA ART HOTELについて教えてください。

MANGA ART HOTELは「漫泊(まんぱく)」をコンセプトにしているホテルです。「漫泊」とは、僕たちが新しく作った造語で商標を獲得しており、「一晩中漫画体験」と定義しています。

開業するにあたって2つの軸を設定しています。それは「マンガ喫茶に対してどういう立ち位置に立つか」と「アナログの本を楽しむ」の2つです。

まず「マンガ喫茶に対してどういう立ち位置に立つか」についてですが、実はマンガ喫茶って旅館業を取得していないんですよ。

ーそうなんですか!?でも「漫画喫茶に泊まる」とか言いますよね?

そうなんです。漫画喫茶は旅館業を取得していないので、法律でホテルのように寝具を提供することは許されていませんし、「宿泊」という言葉も使えない為、「ナイトパック」というような表現を用います。

ーかなりのグレーゾーンですね。

実は旅館業を取るのはとても大変なことで、建築基準法と消防法と旅館業法の3つの条件をクリアしないといけないんです。もちろんMANGA ART HOTELはそれらを全部クリアしています。なのでbooking.comなどのような宿泊予約サイトにも載せることができ、事前にどのようなお客さんが来るか全て把握できるんです。もちろん多くの個人情報を扱うことになりますが、どこの誰かも分からない方を泊まらせているわけではないのでホテルの安全性に大きく繋がると思っています。1日に何人泊まれるかも決まっています。漫画喫茶の場合は人の往来が多く、共有スペースを多くの人が使っているので臭いや衛生的な問題を始め、クオリティーのコントロールがすごく難しいんです。

 

ー確かにその方がお客さんとしても快適に安心して漫画に集中できますね。

そうです。そして漫画に集中するためにこだわりのシステムもあります。漫画喫茶は時間を設定して利用する仕組みです。なので、例えばキングダムやワンピースのような何十巻もある漫画を読みにくる人は1時間、2時間と言った短時間の往来をして読んでいるんです。MANGA ART HOTELの場合は15時にチェックインして11時にチェックアウトなので最大20時間いられます。このように時間がたっぷりあることで短時間で漫画を消費するのではなく、新しい漫画に出会える時間がたっぷりあるうえ、その漫画の世界にたっぷりこもっていただけるということです。空間的にもマンガの世界にこもれるように、部屋を狭く、白くして、他に何もない状態にすることで、漫画だけに集中できるようにしています。これがも1つの軸である「アナログの本を楽しむ」ことにもつながります。

ー「アナログの本を楽しむ」とは具体的にどういうことなのですか?

現代ではスマホのアプリで漫画が読めます。1話目は無料で読めて、その後は1話単位で20円とかで購入できるんです。そしてそのようなデジタルな漫画は内容もデジタル用に特化してきているんです。数話で完結する漫画であったり、すぐに話の全貌がわかるようになっている漫画がランキングで上位に来て、実際に消費されている実情があります。その理由は、スマホ自体が空き時間の消費に特化したメディアだからだと思うんです。電車を待っている間やエレベーターを待っている間とかでも漫画が読める。それはそれで凄いことだと思うし、そういう漫画があるのは現代のエコシステムに合っているとも思う。ただ本来、物語をちゃんと表現するには1話や5話くらいでするのは厳しいことだと思うんです。何100ページを渡って内容を伝える方が面白い漫画もたくさんあると思うんです。どっちがいいどっちが悪いと言う話ではなく、どっちもどっちでいいんです。現に僕は超がつくほどのデジタル人間でKindleなども10年以上使っています。デジタルはデジタルの良さがあって、アナログはアナログの良さがある。アナログの良さっていうのはおそらく、両手で持って、かなりマインドフルな状態で長く読めることだと思うんです。そう考えると、アナログの本を楽しむためには、時間を長めに確保して、1つの作品に集中できるカプセルホテルのようなクローズドな空間を作るのが最適だと感じました。

ー漫画が全てのベースになっているのですね。漫画に没頭できるような空間を突き止めて最終的にカプセルホテルみたいになったという感じですか?

そうです。悩んだんですけど3、4人が泊まれるような個室にすると友人との会話というコンテンツの方が優先されてしまって、さっきのスマホの話と似ていて漫画を読む以外のことができてしまうんです。あえて選択肢をなくした結果、カプセルホテルみたいになったんです。

ーそもそもなぜ「漫画」に着目したのですか?

漫画はグローバルな共通言語になり得るコンテンツだからです。

ちょっと脱線しますが僕はもともとAirbnbが好きで海外を50都市ぐらい行ったこともあるんです。だから色んな場所で現地の人と話をするんですけど共通のネタが全然なくてコミニケーションが浅いところでとどまってしまうんです、すごく浅いところで。「How are you」的な。「Where are you from?」って聞いて、オハイオって言われて、オハイオについて何も知らないから「うわ、どうしよう」みたいな。女の子だったら世界中で美容とか洋服とかの話で盛り上がるかもしれないけど、男女問わず日本について知っているネタだとやっぱりポケモンとか、ドラえもんとか、漫画って本当にグローバルなんだなって旅して実感しましたね。

漫画というコンテンツは言語を超えて国境を越えるコミニケーションツールにもなり得るんです。本当の意味でグローバルでこれからももっとシェアすべきものだと判断してホテルに漫画を置こうってなりました。

ーどのような漫画を取り扱っていますか?

選ぶ基準は2つあって1つ目は装丁の見た目がアートかどうか2つ目は内容がアートかどうか。装丁のアートについては表紙はもちろん、背表紙でも選んでいます。内容のアートについては「感情揺さぶるもの」と定義しています。

ーそれは御子柴さん個人が感情揺さぶられたものを選んでいるということですか?

僕ともう1人、共同代表の吉玉です。2人で実際に読んで、選んで、議論して、最終的に設置しています。

ー本は入れ替えたりしていますか?

既にオープンしてから300冊くらい入れ替えましたね。僕らは基本ピボット、つまり改善前提で考えています。時間の許す限り、フロントにいて、色んなお客さんと話し合ったり、意見をもらっています。インバウンドのお客さんが増えてから分かったこともいくつかあります。1つ目はやはり僕たち選書者が女性向け漫画について弱いので全体的にライトすぎました(笑)。2つ目はちょっと面白いんですけど、

外国人は日本の漫画の文字を英語に訳したからといって理解できるわけじゃないってことです。

 

ー言葉として理解できないのですか?

いや、面白さが理解できないんです。現在マンガアートホテルでは日本語の漫画が4000冊、英語版が1000冊で計5000冊くらいあるので英語版は比較的有名タイトルが置かれています。

そしてその中に「スラムダンク」も含まれていて、以前バスケ好きなフィリピン人の男の子にそれをお勧めしたんです。そしたら「つまらない」って言われて「なんでやねん!」ってなりました(笑)。考えてみたら確かに桜木花道やミッチーは不良だけどバスケには本気という前提など、日本のヤンキー文化を理解できていることが前提で成り立っているんですよね。その上、日本は決してバスケが強い国じゃないので日本の高校生がNBA級のプレイをするというのもリアリティーに欠けると思われたのかもしれません。これは実際のそうなのかは分かりませんが僕自身の分析です。リアリティーやプロットの共感には言語の境界だけでなく文化の境界もあると思うんです。なので最近は文化的にも文脈が理解できる漫画を選書することも意識しています。ちなみに僕自身は「スラムダンク」が死ぬほど好きなのですが・・・。

ーそうなんですね(笑)。日本や海外にも通用しないその漫画のオリジナル設定があるものの方が外国人としても読みやすのではないでしょうか?

そうなんです。人気なのはやっぱり「ナルト」、「ブリーチ」、「デスノート」、「ワンピース」とか、構図がわかりやすくて伝わりやすいものなんですよね。海賊や忍者とか日常的に関わる設定じゃないので扱いやすいんでしょうね。

漫画って言語よりも非言語の部分の方が情報量が多いじゃないですか。絵しかない絵本みたいで、絵本じゃない漫画とかもあって、漫画って本当にグローバルなメディアなんですよ。言語が分からないからプロットが理解できないことでは全くないんですよ。日本語版だけを置いて日本語を読ませてもいいんじゃないかって言う人もいました(笑)。

ー日本語だけしかないっていう話とはちょっと反するんですが外国人向けに何か特別行っている事はありますか?

一応オススメコメントを日本語と英語で書いています。日本語版しかない漫画もそうです。ざっくりでも話の方向性とかを説明すれば日本語でも、もちろん全てではありませんが、プロットが理解できるのではないかと思うんです。

 

【『漫泊』特集】一晩中漫画体験を提供するホテル!?〈第2弾〉では、

MANGA ART HOTELの魅力、

開業までの挑戦や苦労などについてご紹介します!

About the author

gakuseikichi

Add Comment

Click here to post a comment

新NASA留学2024

ワーキングホリデーin Canada

医療機器業界特集

グッドデザイン特集‼

アルバイトサイト一覧

就職サイト一覧

就職サイト一覧

Contact Us