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就活が大きく変わる!?採用指針廃止の影響は?(前編)

 日本経済団体連合会(経団連)の中西会長は9月3日、2021年春以降の就職活動の日程などを定めた指針を廃止してもいいと表明しました。これが実際に廃止されるなら、現在の大学2年生以降の就活に大きな影響がでると予想されています。どのような影響が出るのか、これから大学生はどうすればいいのか、といった情報を分かりやすく伝えます!今回は前編!(後編はこちら!)

 

目次
−まず、「採用指針」って?
−採用指針廃止表明に至った3つの理由とその背景
1)オリンピックと説明会との時期が重なる
2)外資系やベンチャー企業との「採用競争」
3)経団連が採用日程に関わることへの疑問

 

 

 

採用指針って何?

 採用指針というのは、経団連が示す「採用活動スケジュール」のようなものです。具体的には、「会社説明会」と「面接などの選考」の解禁日です。現在の指針では、会社説明会は3月1日から、面接は6月1日からとなっています。

 採用指針の始まりは1953年に遡ります。その時は企業側と大学側との協議で決まったルールで「就職協定」と呼ばれていました。けれども、協定を破り採用活動を始める企業が社会問題になり、就職協定は幾度と変更されました。1997年には、就職協定は廃止され、経団連は新しいルールとして「倫理憲章」を制定。そして2013年に、倫理憲章の代わりに定められたのが「採用指針」です。

 

採用指針廃止表明に至った3つの理由とその背景

1)東京オリンピック・パラリンピックとの時期に採用活動が重なる

 今の大学2年生が就職活動をする時期は、東京オリンピックなどの時期と重なります。そのため、会社説明会などの会場や就活生の宿泊場所が足りなくなるという心配があり、経団連は指針の見直しを検討したことがきっかけです。そのため、大学側も日程の変更はあり得るものだと考えてはいましたが、廃止の判断には驚いているようです。

 

2)外資系やベンチャー企業との優秀な人材の「採用競争」

 実は採用指針は、経団連に加盟している大手企業およそ1300社のみが対象となっています。つまり、経団連に加盟していない外資系やベンチャー、IT企業などは採用指針に従う必要はないのです。また、経団連に加盟している企業でも採用指針を破っても、罰則はないのです。アンケートでは、会員の9割近くの企業が「採用日程は守られていない」と回答しています。意味のほとんどなくなった指針でもあったのです。

 実際今年は、面接などの採用を行なって良いとされる6月1日の1ヶ月前、5月1日の時点での内定率は4割を超えています。また、解禁日である6月1日の時点では7割近くの大学生が内定を受け取っているというデータがあります。

 

 そういった中、経団連が示す指針に従うことは、会員企業にとっても「優秀な人材を採用できない」ということに繋がってしまいます。経団連の企業が採用する前に、それらの企業が採用してしまい、優秀な人材を確保できないことになってしまうのです。いわゆる「青田買い」と呼ばれるものです。採用日程を廃止することによって、ある意味でそれらの企業と同じラインに立つことができるわけです。

 

 ちなみに、現在の経団連の中西宏明会長は日立製作所の会長です。海外企業との競争の激しさをよく実感している人でもあります。今年の5月に経団連の会長に就任しましたが、それまでの副会長時代から採用指針の廃止を主張していました。

 

3)経団連が採用日程に関わることへの疑問

 「採用日程」「就活」という言葉は、日本の伝統的な採用形式である「終身雇用」や「新卒一括採用」という制度に基づいています。けれどもグローバル化などの影響で、それらが成り立たなくなってきています。外国のほとんどの企業では採用時期などというものはなく、通年採用を取り入れています。現在ではソフトバンクやKDDIやヤフーなど、日本でも通年採用を取り入れる企業が増えてきています。新卒一括採用に基づく経団連も、その限界を感じているのかもしれません。

 そもそもなぜ採用日程が重要かというと、就活時期は大学生活に大きな影響を与えるからです。例えば、会社説明会と面接の解禁日が離れていれば、様々な会社を見ることができ、企業研究もできるのですが、就活時期が長くなるために学業への支障は大きくなります。大学は本来、就活に振り回されるのでなく、学業の第一優先の研究・教育機関ですから。

 ですので、説明会と面接の日程については、経団連だけの判断でなく、政府や大学との協議を必要としていました。しかし中西会長は「経団連は学生のためにあるものではない」という姿勢を取り、「良い人材を採用することは企業の生命線だ」としています。

(後編に続く)

 

 今回は採用指針廃止表明の影響(前編)として、どのような考えや背景に基づいていたのか、ということを紹介しましたが、次回(後編)はその影響とこれからどうなるのか、について紹介します!ルールがなくなる就活はどうなるの?と不安になる方も多いと思います。実際、政府や大学、そして企業もこれの対応に追われて混乱している状態です。今後の動向についても様々な専門家の意見があります。それらを分かりやすく伝えます!

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