皆さん、介抱依頼ハラスメントって聞いたことありますか?
きっと、この言葉を聞いたことも使ったこともないはず。
なぜなら、私が最近生み出した造語だからです。
【介抱とは】
1.病人・けが人・酔っ払いなどの世話をすること。看護。
2.助けてめんどうをみること。保護。後見。 (goo辞書より)
【依頼とは】
1.人に用件を頼むこと。
2.他人を当てにすること。 (goo辞書より)
【ハラスメントとは】
嫌がらせ。いじめ。
〈補説〉英語では、苦しめること、悩ませること、迷惑の意。(goo辞書より)
この字面で、なんとなくの想像がついてしまうのではないかと思いますが…。
今回の記事では、私が実際に体験した大学生間の介抱依頼ハラスメントについてお話ししようと思います。
すっきりするオチがあるわけではありませんが、お付き合いいただけると嬉しいです。
目次
①何が起こったの?
事のはじめは、ゼミのグループでフィールドワークに行ったときのこと。
私のゼミの教授は、博物館などに出向いて実際に見て学ぶことを推奨していて、ほとんどのグループがどこかしらの博物館にフィールドワークに行くことになっています。
私は行ったことのない場所に行くことが基本大好きな人間なので、はじめはフィールドワークが楽しみだったんです。二つの懸念点を除いて。
一つ目の懸念点は、グループのメンバー2人(私を含めて3人)とそんなに仲良くないということ。もう大学生だし、そんなに子供じゃないし、そつなく雑談はしますが…。気が置けない相手か、と言われるとそうではありません。私はメンバー2人に対してだいぶ気を使っているし、気を使われているだろうなというのも感じていました。
二つ目の懸念点は、私以外のメンバー2人が男子であるということ。関心のある分野ごとに教授が割り振ったグループなので、学生に決定権は一切なし。ゼミの学習的にはこれが最適解なのでしょうが、同性がいないグループって若干気まずくもありました。さらに一つ目の懸念点でもお話しした通り、まだ全然仲良くもない。小中高の同級生のようにほぼ兄弟みたいな男子なら気まずさも何もないのに…。
このような感じで、遠出というちょっと非日常なワクワク感と二つの懸念点によるもやもやを抱えながら、フィールドワークへと出かけた私。
博物館を回り終えるところまでは、まだ良かったんです。
「気まず」「うわ、なんかもう帰りたいかも」という多少のもやもやはありましたが、それは私のコミュ力不足かもしれないので目をつぶることにします。
よくなかったのは、博物館を周り終わったあと。
二人の男子をAさん・Bさんとしましょう。
そのAさんがしきりに
「このあとどうするー?」と聞いてくるんです。
大学生の「このあとどうするー?」=「呑み行かない?」という意味を持つところ、ありません?
Aさんと話すのが楽しかったのなら、「え、ご飯でも行きたいかも!」という気持ちになったかもしれませんが、あいにくそれは全然。
盛り上がれるような共通のネタはないし、これ以上話したところで「楽しい!」となる予感もなかったし。
第一、春からのゼミ活動を経てもなお、「気まずい」という感情が出てくる時点で、根本的にどっか合わない気がして…。
なので、
「んー、明日1限からだし、やらなきゃいけない課題もあるし。家帰るかな」
と断りました。次の日に1限があるのも、やるべき課題があるのも事実だったので、正当な理由です。
なのに、本当にしつこく言ってくるんです。
「えー、呑み行こうよー」
「んー、1限あるからー」
この日、最低3回、私の体感5回くらいは、このやりとりを繰り返したと思います。
こうもなってくると、私の方も不機嫌さが隠せなくなってくるわけです。
朝から気を使い続けている疲れと同じやりとりを繰り返すストレスで、うまく笑顔をつくれなくなってきました。
「えー、呑み行こうよー」
「行かない」
そのうち私の返事も相当投げやりに。
「あー私疲れてるな」「このイライラ顔に出てるだろうな」という冷静な私もどこかにはいたのですが、繰り返される一連の会話にうんざりして、雑な返事をしました。
ストレートに「行かない」と食い気味で言えば、「行きたくない」気持ちが伝わるだろうと思ったんです。
でも、伝わらなかった。
「えー、そこはちょっと『え~どうしよう』とか迷おうよー」
心に思い浮かんだのは、「迷わねえよ」の一言でした。
顔を取り繕うことを完全に忘れて、無表情になっていたであろう私に、追い打ちをかけるように
「あれ、地雷だった?(笑)」
とさらなる地雷を放り込んでくるAさん。
怒ったボケをかましているわけではないのに、なんで私がいじられているような構図になっているんだろう。
Aさんは私をいじっているつもりなのか。全然笑えないけど。
こちらとしては何も面白くないのですが、私の雑な返答と不機嫌な表情がAさんのツボには刺さったようでした。
私が本気で怒っていても、それをボケ(怒っているフリ?)と捉えて、実際にはかすってもいないツッコミ的なものを放ってくるAさん。
「ある意味、この方は幸せ者なのかも」とさえ思ってしまいました。
このような私の怒りMAXの状況で飛び出したのが、タイトルにもある介抱依頼発言です。
「今日は(私の名前)さんがいるから、連れて帰ってもらえると思って」
最悪なことに、Aさんと私は最寄り駅が同じ。だから、酔っても私が連れて帰ってくれると思ったらしいです。
そして、Aさんは
「大丈夫。ちょっと肩貸してくれるだけでいいから(笑)」
と付け加えました。
今思い出しても、怒りと気持ち悪さがはっきりと蘇ってきます。
この発言に私がどう返したか、はっきりとは覚えていませんが、「やば…」とだけ呟いたような、「連れて帰らないよ、捨てて帰るよ」と言ったような言ってないような。
結局、呑みにはいかず。
途中の駅でBさんと別れ、最寄り駅が同じのAさんとは一緒に帰りました。
最後の最後まで渋っていたAさんでしたが、私だって譲れなかった。
本当に、一刻も早く、Aさんと離れたかったんです。
以上が、事のあらましです。
②今回の一件で私が思ったこと
嫌なことは愚痴って寝たら忘れるタイプの私なのですが、この一件は引きずりました。
友人・家族には散々愚痴ったのですが、どうも完全にはすっきりしない。
「なんでだろう」と理由を考えてみると、この一件は私にとってただの怒りだけではなく、なんとも言えない気持ち悪さを感じる出来事だったからだ、という結論に至りました。
怒りはパーンと爆発するような感じで持続させるのは難しいけど、気持ち悪さは尾を引くような感じで残る。
私は本当に嫌でそれを表しているのに、相手はそれを何か違うものと認識して、いじったり笑ったりしてくる。
「ちょっと肩だけ貸してくれればいい」
それは私にとって「ちょっと」ではないし、「だけ」でもありません。
色んなズレが合わさって、それが気持ち悪さを引き起こしたのだと思います。
ただ「ズレ」という言葉を使いましたが、私は「だからお互い様」と言いたいのではありません。
「私が最初に愛想よくニコニコしていたのがよくなかったのか」と自分の振る舞いにも非があったんじゃないかという考えがよぎったこともあります。
でも、私が嫌な思いをしたのは事実で、この出来事を嫌だと思った自分を否定したいとは全く思いません。
私がこう思うのは、先日大学の授業で性被害についての話題が上ったことがきっかけです。
2017年に世界中で起こった「#MeToo運動」の発端となった、アメリカの有名プロデューサー・ワインスタイン氏の性犯罪における、被害者の実名報道の意義について分析する授業でした。
その授業のなかで、ある学生が
「性被害を受けることは女性にとって屈辱的なものだと思う。性被害者の実名を出すことで報道の重みは増し、それは問題を考えるきっかけとなると思うが、性被害者が実名を出すことのリスクはやはり高いと思う」
という感想を言った場面がありました。私も同じような意見でした。
しかし教授は、その発言を否定したいわけではないと前置きして、このように続けました。
「性被害を受けることは屈辱的なことだから、自分が被害者だと公表したら傷つくかもしれないから、実名は出さない方がいい。そういう社会の構造が、被害者の声を摘み取っている原因の一つなのだと思います。いじめにおいても、いじめる方が悪いのは承知の上でいじめられる方にも原因はある、という意見があります。ですが、性被害においてもいじめにおいても、加害をした時点で、加害者が100%悪い」
この言葉を受けて、「はじめに愛想よくした私もよくなかったのかもしれない」と思うことは、自分で自分の声を摘み取っているのと同じだと思いました。
嫌だと思った自分を大切にするべき。
今回の出来事から、私が心から実感したことです。
📍#MeToo運動について詳しく知りたい人はこちら
③おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。
すっきりするオチのある出来事ではありませんでしたが、「私もそういう経験したことある!」という方の気持ちが少しでも軽くなるといいなと思っています。
自分がされて嫌なことを人にしない。
自分がされて嫌ではないことも、誰かにとっては嫌なことかもしれないという想像力を持つ。
これを徹底できる大人になりたい、と改めて決意する今日この頃です。
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