英語学習や読書習慣をつけるためにおすすめなのが、洋書を読むこと。でも、どんな洋書を読めば良いのか、どれくらい読めるのか、判断することが難しいと感じませんか?
そこで、今回は、2021年に40冊の洋書を読んだ私が、刺激を得られる、女性パイオニアの自伝を3冊紹介します。
目次
洋書レベル説明
良い本でも、難しくて読む気がなくなってしまったという経験はありませんか?言語を含めて、舞台となる社会の背景を知っていることを前提に書かれている時に、洋書は難しく感じます。
そこで、今回のコラムでは、必要となる言語力・知識に基づいて、洋書を初級・中級・上級に分けました。
初級:簡単な英語で書かれていて、特に知識がなくても読めるもの
中級:英語圏の学生が読むような、社会的背景に関する知識がある程度必要なもの
上級:歴史観や特別な用語など、専門的な知識が必要なもの
例えば、ハリー・ポッターは、主に架空の世界を舞台にした児童書であることから、初級レベルになります。
このコラムでは、真ん中の中級レベルの本を紹介します。
Educated by Tara Westover
(引用:Amazon)
ページ数 | 出版社 | 出版年 |
352 | Random House | 2018 |
#アメリカ #モルモン教原理主義 #サバイバリスト #教育
家族と決別してでも、信じるものを追いかけ、道を切り開いた女性の自伝です。
タラ・ウエストオーバーは、アイダホ州の普通とはかけ離れた家族に、7人兄弟の末っ子として生まれました。モルモン教原理主義のサバイバリストである父親を先頭に、一家は、反政府的な生活をしていました。政府機関や病院を信頼できない組織とし、タラは9歳まで出生証明書を取得していませんでした。怪我をしても、薬草で治療をする母に頼るといった生活です。
タラは、17歳にして初めて学校に足を踏み入れます。社会から孤立した、暴力と隣り合わせの世界から、ケンブリッジ大学、ハーバード大学へ。社会から隔絶した家庭で育ったにも関わらず、タラは教え込まれた「当たり前」に疑問を抱き、独立するため教育を受けます。教育の大切さを感じるとともに、一生懸命勉強したいと思わされます。
家の外を知らなかったタラが、社会を知り、自分の居場所を作っていく話です。彼女と一緒に、アメリカ社会の「前提」を学ぶことができる一冊です。
Unfinished by Priyanka Chopra Jonas
(引用:Amazon)
ページ数 | 出版社 | 出版年 |
256 | Ballantine Books | 2021 |
#インド #ハリウッド #ミスコン #家族
弟に応募され、ミス・ユニバース・インディアに参加・優勝したプリヤンカー・チョープラーが、最初はインド、次にアメリカでモデル・女優として困難を乗り越えながら、活躍の場を広げていく姿を描いた自伝です。
インドとアメリカでの20年にわたるキャリア、UNICEFでの仕事。腕に「Daddy’s girl」とタトゥーを入れるまでに愛した父との別れ、ニック・ジョーナスとの出会いと結婚。人生の挑戦や勝利を、彼女自身が語ります。
華やかなプリヤンカー・チョープラ・ジョーナスも、成功を手に入れるために多くの難関を乗り越えました。インドの都市から、成功を信じて、ハリウッドへ突き進みました。頑張りがあってこそ、綺麗な景色がある、そう再認識させられる自伝です。
インドの文化からハリウッドの内部事情まで、たくさんの刺激が詰まった一冊です。
From Scratch by Tembi Locke
(引用:Amazon)
ページ数 | 出版社 | 出版年 |
352 | Simon & Schuster | 2019 |
#家族 #シチリア #人種 #国際結婚 #家族の死
テンビ・ロックは、イタリアの都市フィレンツェへ留学中に、シェフのサロに出会い、恋に落ちます。しかし、シチリアの伝統的な街に住むサロの家族は、黒人であり女優という職業を持つテンビを受け入れてくれません。結婚式の招待へも応えてくれませんでした。しかし、この関係は、サロのがんが発覚したことをきっかけに、一転します。
サロを亡くしてしまったテンビと養子のゾエラ、サロの母親が、3人助け合いながら3つの夏をシチリアで過ごします。拒絶されていたテンビですが、サロの母親をはじめ、シチリアの伝統的な街で仲間を見つけます。食事を共にし、悲しみを分かち合うことで、シチリアに居場所を見つけた女性の自伝です。
素敵な恋愛と隣り合わせに、差別的な排除を経験するテンビの半生は、たくさんの愛と苦しみに包まれているように感じました。サロの死をきっかけに修復に至る、サロの母とテンビの関係は、死は終わりとともに始まりを意味することを教えてくれます。
読んでいてお腹が空いてしまうようなサロのシチリア料理の描き方にも、テンビの愛を感じます。苦しい時にも、明るいことがあると思わされる一冊です。
終わりに
教育、夢、愛。信じるものを頼りに歩んできた女性パイオニアの自伝を、3つ紹介しました。どれも前を明るく照らしてくれるような、心が動く本です。
一学年の振り返りと来年への期待を込めて、春休みに読んでみてはいかがでしょうか。
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