今日、世界には様々な種の人権問題が蔓延っていますね。
人種差別、セクシュアルマイノリティに対する差別問題、気候問題、移民・難民問題など…
人権問題とは私たちの想像以上に大きくて、幅も広いものなのかもしれません。
今回の記事では、そんな多岐に渡る人権問題に勇敢に立ち向かう学生団体、”AMNESTY YOUTH JAPAN” を紹介させていただこうと思います。
- AMNESTY YOUTH JAPAN とはどのような活動を行っている団体なのですか?
世界各国に配置されている、“AMNESTY INTERNATIONAL”(国際人権NGO)の学生支部です。世界の人権侵害について調査し、その結果を基に様々なキャンペーンを展開しています。また、私達と同じ世代の人々に向けた、人権侵害の様々な問題についての知識・興味を深めるためのイベントを開催することにも力を入れています。
YOUTHの支部もまた、世界各国に配置されており、外国の支部ではより盛んに活動が行われているような気がします。去年の夏に行われた国際会議に参加した際、YOUTH支部の代表が集まって、AMNESTY YOUTH の一年間の目標について共に話し合うことがあったのですが、AMNESTY のその規模の大きさを実際に感じることができ、とても勇気づけられましたし、AMNESTY に関わって活動を続ける意味を再確認することができました。
- 1つの団体として掲げている目標やモットーはありますか?
“YOUTH の意識を変え、人権侵害を自分のこととして捉えることのできるYOUTHを増やす”ということを目標に、今年一年間活動していこうと考えています。人権侵害について知ることのできる機会が少ないと言われる日本において、私達が積極的に活動していくことで、より良い社会作りに繋げたい、という思いを込めています。
- 今までに活動の中で、最も心に残るような、刺激的だった活動について教えて頂けますか?
東京で開催された“気候変動マーチ”にメンバーと参加したことが、心に残っています。同じ意識を持った人達と一緒に声をあげる、という経験は自分にとってとても刺激的でした。(気候正義ユニット)
ユース交流会はとても刺激的なイベントでした。イベントに来たきっかけ・理由は様々だったと思いますが、一つの場所に同じ問題意識を持った、同世代の人達と会えたことは嬉しかったです。ユース交流会には大学生だけでなく、中高生も多く参加してくださっていて、色んな目線からの意見を聞くことができる、またそれによって鼓舞される部分が大きいのが特徴です。(LGBTIユニット)
- 今日議論を醸している黒人差別をはじめとした社会に蔓延る様々な差別・人権問題に対して、AMNESTY YOUTH JAPAN として考える、学生だからこそできるアプローチの仕方は何でしょう?
まず、色々な問題があるということ、そしてそれらについて知ってもらうことが必要不可欠なのではないかと考えます。SNSという便利なツールに恵まれておりますので、その発信力を使って私達も情報発信に力を入れています。
- 性的マジョリティである人が性的マイノリティである人に出会った時に意識するべきこと、また性的マイノリティである人が心に留めておくべきこと、に関してAMNESTY YOUTH JAPAN として何かあれば教えて頂けますか?
まず、 “アウティング” (本人の了解を得ずに、他の人に公にしていない性的指向や性同一性などの秘密を暴露すること) のことを知っておくべきだと考えます。性的マイノリティに出会うということは、カミングアウトをされる、という場合が多いと思うのですが、そこには勇気と大きな信頼が伴っているのではないでしょうか。今日、同性愛を法で罰する国もあります。アウティングが人の命を奪うってしまうこともあることを考えると、これを意識することは必要不可欠なのではないでしょうか。
表向きにメディアで報道されたりしてなくても、アライ (性的マイノリティの人たちを理解し支援する人たちのこと) はたくさん存在していることを知っておいて欲しいです。
“性はモザイク”という表現があるのですが、これはどんな人であっても性を構成する要素が片方に偏っていることはない、ということを意味します。性は男女の二種類ではないし、セクシュアリティも異性愛だけでなく、多様に存在しているということがよく伝わる表現だな、と私は思いました。
- 気候変動と人権問題の関係性について詳しく教えて頂けますか?
気候変動の原因となっている温室効果ガスの歴史を調査してみると、温室効果ガスを排出しているのは主に先進国であるのに対し、その被害は途上国が受けていることがわかります。具体的に言うと、途上国で農業や漁業を営んでいる人々は気候変動によって、陥没や海洋の生態系が変わってしまった場合、移住をせざるを得なくなります。これを環境難民といいます。この例だけでなく、世界には先進国→途上国 という構造に当てはまり、不平等に動いているケースが多くあります。気候変動と人権の繋がりは、とても深いということを知ってもらいたいです。実際に、気候変動対策としてクリーンな発電所の建設が計画されたのですが、それにより先住民族の住居が奪われてしまった、ということがありました。私達、気候正義ユニットは、“気候正義”という言葉と共に、その繋がりに関して声を上げています。
- 新型コロナウイルスの影響で、移民・難民問題に何か影響は出ているのですか?
世界規模の問題が発生した際に、最も影響を受けやすいのは社会的に弱い立場にいる人々になっていると思います。たとえば世界で見てみると、実際にギリシャの難民キャンプにいる人々がとても大きな被害を被っているという報告が出ています。というのも、難民キャンプの環境は私たち日本人が暮らす環境とは異なり、トイレやシャワーの衛星設備が整っていない、冷暖房がないなど多くの問題点があるのですが、さらに大きな問題としては、定員を遥かに超えた難民の方々が、狭い空間での生活を強いられているということが、今日のコロナ禍で大きな問題となっています。密な状態は避けられませんし、衛生面が十分に確保されていないことから、キャンプの1人がコロナウイルスに感染してしまった場合、キャンプ内での集団感染は避けられません。また日本では、様々な事情により入管庁の収容施設に収容された方々が、コロナ感染を大変に恐れています。現時点(8月17日)で、入管職員と被収容者の方の感染が確認されており、状況は、はるかに深刻です。「出して欲しいのに出してもらえない、外で暮らす家族に、もう一生会えなかったらどうしよう」と、長期収容問題とコロナウイルスの脅威が彼/彼女らを苦しめています。収容されている人の中には難民申請者の方や外で家族が待つ被収容者の方もいます。入管庁側も収容施設内での三密回避を考慮して、仮放免(一時的に外に出ることを許可すること)の弾力的な使用等の措置をとっていますが、感染が確認された今、出たくても未だに外に出られない人がいることが現状であり、深刻です。
- 新型コロナウイルスの影響で、活動の方法に変化・影響はありましたか?
イベントが開催できないことが、一番悔やまれるところです。オンラインで開催することもできるかもしれませんが、やはり対面での議論の方が進めやすい部分が多くあると思います。ただ、この状況をポジティブに捉え、良い意味で変わることができそうな部分もあります。オンラインでの活動を本格化することで、海外に留学している方や、地方に住んでいる方も AMNESTY YOUTH のメンバーとして活動できるようになることです。今後、これを生かし、首都圏だけでなく地方の支部も設立したりと、より強い繋がりを作っていこうと考えています。
- AMNESTY YOUTH JAPAN の魅力を一つの言葉で表すなら、その言葉は何でしょう?
“多様性” だと思います。色んな人がいて、色んな意見が飛び交っているけれど、お互いを受け入れる暖かい雰囲気がちゃんとあり、多様性を感じることのできる場所だと思います。
そもそも、私たちの活動するアムネスティ・インターナショナルとは、独自に調査員を派遣し各国の人権状況について調べ、それを基に世界の人権状況の改善を求めるキャンペーンを世界各地で展開する国際人権NGOです。日本では、普段の生活で人権とは何かについて考えることも話題になることも多くないと思いますが、私たちユース世代が人権について考えることで将来の社会がより良くなると信じ、活動をしています。
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