この日本で、何人に1人の子供が貧困状況に陥っていると思いますか?
1000人に1人
100人に1人
10人に1人
いえ
なんと、7人に1人!
とてもザックリとした計算ですが
0-18歳の子供が約2060万人 ÷ 7 = 294万人
とにかく凄く多くの人達ということだけはお分かりいただけたと思います。
日本は、ここまで「子どもの貧困」が悪化し、とても深刻な状況になっています。
そうは言っても、日本の社会システムは発達しているし、ボランティア団体もたくさんあるんだから大丈夫ではないかと、思いがちですが、日本の社会システムは崩壊寸前です。
年金は支給される金額がどんどん減り、健康保険や介護保険は自己負担額がどんどん増えています。
現在はまだ機能しているものの、これからの高齢化や経済の状況を考えると悪化の一途を辿るとしか考えられない状況です。
このような状況で、いま問題視されているのが「貧困家庭の子ども」です。
今回は、お寺の僧侶が考え、全国に助け合いのネットワークが広がっている凄い取組について、NPO法人「おてらおやつクラブ」の福井良應さんにお話を伺って来ました。
目次
見えない貧困、相対的貧困とは?
貧困には二つの種類があります。
きっとみなさんは、貧困という言葉を聞くと所得や栄養、健康、教育などの水準が著しく低い状態、いわゆる絶対的貧困を想像されると思います。
しかし、その国や地域社会の平均的な生活水準と比較して、所得が著しく低い状態、見えない貧困とも言われている相対的貧困も問題視されています。
家族構成にもよりますが、相対的貧困状態の世帯年収が200万円以下。母子家庭の場合は世帯年収が170万程度になります。
相対的貧困の子供達の中には、親が病気のために家事をしなければならない子どもや、金銭的な理由で大学進学を断念する子ども、学校の給食費を払うことができない子どもが多く存在します。
子供達を支援することを目的として、各地に子ども食堂や無料塾が設立されていることはみなさんも耳にしたことがあるはずです。
お寺の「ある」を社会の「ない」にお裾分け
おてらおやつクラブとは、生活に困窮する家庭の子ども達に支援団体を通して、お寺のおそなえを、おさがりとして、おすそわけしているNPO法人です。
おそなえされるお菓子や飲み物、果物などをお寺が地域の支援団体におすそわけをし、さらにそれぞれの家庭状況をよく把握している支援団体が各家庭向けにおさがりとしてお供え物を手渡しているそうです。
お寺側も、お盆やお彼岸などで頂き過ぎてしまったお供え物の扱いに困ることがあったため、必要とするご家庭におすそわけすることによって、食べ物を無駄にしないシステムが成立したということです。
また、支援する物がお供え物であるため、旬の果物やちょっといい和菓子など、物のクオリティが高いこともこのシステムの利点だと言えます。
おてらおやつクラブの活動が世に知れ渡り、最近では食べ物だけでなく子ども用のおもちゃや肌着などがおすそわけされることもあるそうです。
また、物質的な支援がありがたいと言う声だけでなく、どこかで誰かが自分を見守ってくれていることが何より嬉しいと言う声も挙げられているそうです。
つまり、おてらおやつクラブの活動は、モノの支援を通じて、精神的な面でも人々を支援することにつながっているそうです!
最初は小さい活動から始まり、現在では宗派を超えて全国におすそわけの仕組みが拡大しているそうです。
最後に、大学生へのメッセージをいただきました。
現代社会では、一人ひとりが他の誰かのために一生懸命に仕事をして生活を支え合っています。
当たり前のことですが、人は一人では生きていけない。
一方で、いま社会で起きている問題も一人ひとりが意識を高めていかないと、そう簡単には解決しないでしょう。
誰かエラい人が、どうにかしてくれるなんてことはありません。
早いうちから、社会の様々な物事に目を向けて、どのようにすれば問題が解決に向かいそうかを考え行動する力を身に付けて欲しいと思います。
「私にできることは何か?」
そんな視点を常に持ち、行動できることが次世代のリーダーに求められる姿勢でしょう。
インタビューを終えて私が感じたこと
お寺と言えば、お墓や初詣などのイメージしかない人が多いと思いますが、昔々のお寺は、生まれてから死ぬまで、人々の心の支えとして、相談者であったり、寺子屋のような学校であったりと地域住民と深く関わりがあったことを思い出しました。
「おてらおやつクラブ」は、まさに地域コミュニティを現代風にデザインされていて、もともとお寺が持っているポテンシャルが活かされているところも凄いなと思いました。
また、事務局の裏側では、webや先進的な大企業でも活用されている最新の管理システムを導入し駆使されていた点も驚きました。
貧困の現状について、学校で教わったことがありましたが、教科書の中の話であり、次々と詰め込む知識の一部にしかなっていませんでした。
知識としてや、他人事としてでは無く、真剣に今の自分に何が出来るのかを考えても、話が壮大過ぎて何も出来ないと感じてしまいました。
全てを一気に解決するのではなく、「おてらおやつクラブ」のように、まずは、出来ることから始めて、賛同者が増えてくれれば大きな力となるというヒントを今回の取材でもらえたので、「私自身も子供たちを笑顔にする」という目標のために、今の私でも出来ることから始めてみようと思いました。
ぜひ、みなさんも、今のあなたでも出来ることを始めてみませんか?
2018年 グッドデザイン賞 大賞(内閣総理大臣賞) 受賞
受賞HP:https://www.g-mark.org/award/describe/48291
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