ここ最近注目されているヴィーガンとベジタリアン。しかし、まだ菜食対応のレストランが少なかったり、サラダに偏りがちになったり、値段が高かったり…「菜食料理が、自炊できたらいいのにな」と感じるあなたにおすすめの料理教室があります!
完全菜食主義者を意味するVegan(ヴィーガン)という言葉が生まれたのは1944年のイギリス。元々は、「酪農製品(卵・牛乳・チーズなどの乳製品)を食べないベジタリアン」を指す言葉として、一般的なベジタリアンと区別するために使われるようになった。
今秋日本で開催予定のラグビーワールドカップや来年の東京五輪・パラリンピックなど、さらなるインバウンド(訪日外国人客)が見込まれる中、「ベジタリアン」や「ヴィーガン」と呼ばれる菜食主義者に対応する料理の提供をホテルや飲食店などが強化している。
今回はBentoYa Cooking講師の池田さんにお話を伺いました。
外国人向けにヴィーガン・ベジタリアン和食料理教室を英語・中国語で開催している。健康増進・動物愛護・地球への未来貢献を目的とし、持続可能なヴィーガン・ベジタリアン和食を世界中に広げることを信念としている。
―本日はよろしくお願いします。まず初めにこの料理教室を始めるきっかけについて教えてください。
食事に制限がある人(宗教食・アレルギー食・菜食など)も日本食を楽しんでほしいという想いから始めました。和食の多くは、鰹節ベース出汁を使用しているため、ヴィーガンやベジタリアンの人は、食べることができません。
加えて、日本はヴィーガンやベジタリアンなど多様な食への対応が遅れているように感じます。日本では、和食以外にも洋食や中華など様々な種類の食を楽しむことができますが、せっかく来日したのだから、「日本の食文化」を楽しんでほしいという考えからこの料理教室を始めました。
―講師の先生はもともと他の料理教室で活躍していた、または料理のプロと呼ばれる人ばかりなのでしょうか。
いいえ。全員がそうではありません。もともと料理が好きな人だったり、語学力を活かして、始めた人もいたりします。BentoYa Cookingでは、外国人に料理を教える先生になるための講座も開講中で、今後世界中で、ヴィーガンの和食を教える先生の数も増えていく予想です。
―この料理教室は外国人向けですが、主にどの地域からの方が多いのですか。
アジアや欧米など様々な地域から料理教室に参加しますが、中でもイスラエル人が多いです。ユダヤ教信者のいるイスラエルでは「コーシャ」というユダヤ教徒が食べても良いとされる「清浄な食品」が主流です。厳正な審査に合格した食品しか選ぶことができず、これがヴィーガンやベジタリアンの食材と似ているため、参加者が多いとされています。
また、宗教の関係(仏教)で元々ベジタリアンが多い台湾からの参加者も多いです。加えて、健康志向の人も多いのが台湾人の特徴ではないかと考えます。
―どのくらいの人が一度に参加されているのですか。
多いときは30人ほどいます。企業や自治体向けに、料理を作りながら交流ができる「チームビルディング研修」なども開催しています。参加者のバックグラウンドも様々で、時にはシェフや外交官の方もいらっしゃいます。レッスンでは、日本の料理を学ぶだけでなく、新たな交流が始まる場所にもなっています。
―イスラエルからというのは意外ですね。料理教室が開催される際のメニューによって参加者の系統も変わってくるのですか?
そうですね。アジアからの方々ですと、キャラ弁が人気です。キャラ弁と言うと、難しいようにも見えるのですが、初心者でも簡単に作ることができるのですよ。見た目を重視する、キャラ弁は添加物が多い食材が使われることが多いですが…BentoYaCookingでは、体に優しい菜食で作る、自分の家族にも食べてほしいキャラ弁を教えています。
また、欧米の方ですとラーメンやカツカレーが人気です。アジア圏の人は餃子やラーメンなど母国に似たようなメニューがあるので、少し手の込んだメニューが人気なのかもしれませんね。
―参加者はやはりヴィーガンやベジタリアンの人たちが多いのでしょうか。
参加者の6割程度はヴィーガンやベジタリアンの方々ですね。参加理由は、家族に食事制限のある人、週一回ヴィーガンメニューを取り入れている人、旅行メンバーの誰かがベジタリアンだからなどという理由など様々です。在日の方も多く参加されていますが、旅行客はみんなで楽しめるアクティビティとして参加されている人が多いです。
―和食には調味料に魚介の出汁などを使うものもありますが、ヴィーガンで和食を作る難しさはありますか。
ラーメン・うどんのスープや出汁の素は、魚介やお肉がベースとなっていますが、これらの代わりに昆布やシイタケ、切り干し大根などを使って簡単に出汁を作ることができます。料理教室では出汁の作り方から指導するので、家でも気軽にヴィーガン和食を楽しむことができます。
―調味料にもヴィーガンやベジタリアンに対応していないものが多く入っているように感じるのですが、調達は簡単にできるのですか。
ヴィーガンやベジタリアンの人向けの調味料も外国人が多く住んでいる地域の大型スーパーなどに行けば手に入ります。料理教室の前後で、買い物ツアーも行っており、どの製品が菜食対応商品なのかを説明します。ゲストの中には、料理教室で使用した調味料一式を買って帰る方もいるのですよ。やはり、食品のラベルは日本語表記だけですので、日本語の分からない外国人にとって何が買えるのか不安になってしまいます。一つ一つ教えることによって安心して楽しく日本食を楽しむことができるのです。
また、最近では、ヴィーガン製品を販売する食品メーカーが増えています。インターネットでも気軽に購入できます。
―日本語が分からない外国人にとって一緒に買い出しに行くのは安心ですね。
しかし、全ての情報がラベルに表記しているわけではありません。分からない物に関しては購入を拒むようです。例えば、日本の白砂糖は製造過程で牛を使用していることがあります。ヴィーガンの方は、砂糖が入った調味料、ケチャップなどを気にされる方が多いです。BentoYa Cookingでは、甜菜糖を使用しています。日本の食品のパッケージには、ヴィーガン表記がないので一目で分からないことが多いです。
―より多くの人が料理教室に参加したいと思えるようにどのような工夫がなされているのですか。
料理教室は大きく分けて、外国人観光客向けと在日外国人向けの2種類があります。観光客は、「日本での経験」好きな料理や作ってみたい料理を聞いてクラスに参加します。目的が、SNSに写真を載せるため、という方もいます!
一方、在日外国人にとって日本食は観光客に比べて身近なため、ひと工夫しなければ参加しません。そのため、チーズケーキやウナギなど、「ヴィーガンでできるの?」と驚くようなメニューを教えます。
また、和菓子はとても人気です。しかし、やはり国によってニーズが異なるので、それをくみ取ることが大切です。例えば、練り菓子と茶道の体験を行う際、日本人であれば座学や作り方の工程を学びたい傾向にありますが、外国人だと出来上がったものを写真に撮りたかったり、自分でお茶をたてたいという人もいたりします。ですので、日本人と一緒の教室を開催する場合はどうやったら飽きずにできるかを考えています。
―日本人も参加できるのですね!
もともと外国人向けに始めたのですが、外国人と交流したい、料理教室を通して英語を学びたいなどの理由から参加する日本人が増えてきました。年齢も幅広く、子供から退職した人まで参加しています。
―近年ではヴィーガン・ベジタリアンの過激派まで出てきていますが、この件についてどうお考えですか。
ヴィーガンの人は健康や環境保護、動物愛護など様々な理由がありますが、BentoYa Cookingの料理教室では、全ての人の考え方を尊重します。植物性のものを利用した料理を教えることを目的に行っています。人によって食に対する考えは異なり、時には対立を招くこともあります。
―今後の料理教室の望みや願いを教えてください。
まずは、外国人向けに和食を教えられる講師を増やすことです。講師が増えることによって開催場所が増え、お客様のニーズに応えられると思います。現在は東京、横浜、京都の三か所ですが、名古屋や福岡でも展開できればと思っています。また、料理教室を通して、誰もが日本食を楽しんでもらえたら嬉しいです。学生さんのインターンも全世界から募集しています!!
―本日はありがとうございました。
料理教室は数多くあるが、ヴィーガン・ベジタリアンに特化したものはなかなかないと感じる。加えて、日本は欧米に比べ食の多様性の配慮が遅れているため、安心して和食を楽しむことが難しい。楽しく安心して食を楽しめる場が今後増えてほしいと願う。
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