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シリーズ アメリカの大学④ 学費が高いって聞いたけど…? 奨学金の話

 アメリカの大学についての記事第4段は、奨学金情報です。多くの人が気になるお金の話、もちろんアメリカの大学の奨学金についてのみ語るのではなく、日本との制度比較やちょっとした議論までしてみたいと思いますのでお付き合いください!

 

 

圧倒的に高い学費

 

 アメリカの大学の学費は、日本と比べても圧倒的に高いです。トップの大学だと年間500万円の授業料に寮費や諸費用がつきます。

 

 

 しかしながらもっと驚くべきことに、実際に学生1人に教育を提供するためにかかっているお金はさらにさらに高いです。例えばアマースト大学はホームページ上で学生一人当たりの教育費が年間10万ドル以上(およそ1100万円以上)かかっていると公言しています。

 

 

 「え、差分の金額はどこから湧いてきたの?」と思うでしょう。答えは卒業生からの寄付金や、今までの寄付金などから構成される資産の運用などで積み上がったお金です。何が言いたいかというと、確かにアメリカの大学は学費が高いですが、それは決して利潤追求しているからではないということです。

 

 

 そうは言っても高い学費。もちろん全額を工面できる家庭は少ないので、様々な奨学金が給付型で発達しています。その中には、大学が出してくれるもの・アメリカの公的機関が出してくれるもの・様々な財団が出してくれるものがあります。アメリカの公的機関関係のものは、日本人が対象外なのでここで語っても仕方がありません。ということで、この記事では他2つにフォーカスします。

 

 

日本にもある! 奨学金制度

 

 

 まずは日本の財団が出してくれる奨学金についてです。一番大規模かつ金額が大きいのは僕の知る限りだと柳井財団の奨学金です。これはアメリカの一流大学に受かる前と後に審査・奨学生選抜が行われます。合格率が10%を切るような大学を主とする奨学金なので、奨学生になるハードルは高いです。一方、柳生財団のような規模ではないものの、90年余りの歴史を持ち、伝統的にリベラルアーツカレッジ(こちらの記事参照)を主として奨学生を送り出してきたのがグルーバンクロフト基金です(僕はこの基金の奨学生です)。今年になって、アメリカの総合大学(ハーバード大学・スタンフォード大学など大学院を持ち研究に比重を置く大学)にも生徒を送る方向に方針転換したようです。

 

 

 

 ほかにも、江副財団、船井財団など奨学金を供給してくれる財団は日本にいくつもありますが、やはりアメリカの大学学部留学専門で圧倒的に知名度・金額が大きいのはグルーバンクロフト基金と柳生財団です。

 

 

大学自体も奨学金を出すアメリカ

 

 

 一方で、アメリカの大学自体が出す奨学金も非常に充実しています。ですが、アメリカには数千校もの大学がありますので、一概に全ての大学が大きい金額を出してくれるわけではありません。では、一体どのような大学が奨学金を多く出してくれるのでしょうか?

 

 

 一般的には、奨学金が充実しているのは名門私立大と言われています。理由は、州立大学は州民に学費を安くして教育を提供することが本来の目的なので、州外の米国人・外国人にお金を投じる意識が薄いこと、名門校であるほど卒業生が社会的に活躍し、寄付金を大学に提供してくれやすいことなどです。

 

カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校。奨学金はハーバードほど充実していないが、その代わり州内の人にはハーバードの10分の1の学費で世界最高クラスの教育を提供。

 

 ちなみに、その名門私立大の中でもさらに色々ありまして、Need型とMerit型という分類が奨学金にはあります。字面通り、必要なら出すよというタイプと、優秀なら出すよというタイプの2つですね。さらにNeed型は、Need-BlindとNeed-Awareに分かれます。これは少々想像しづらいと思いますので丁寧に説明すると、

 

 

Need-Blind:必要な人に必要な金額を出す上、入学審査の際に奨学金の有無が問題にならないタイプ。アメリカでは、ハーバード大学・プリンストン大学・マサチューセッツ工科大学・イェール大学などの超名門総合大学しか行っていないシステム。リベラルアーツカレッジ唯一の該当校はアマースト大学。

 

プリンストン大学。数学において圧倒的な世界最高峰の位置を占めるほか、政治学・歴史学などにも強い。東大と交換留学協定あり。
マサチューセッツ工科大学。通称MIT。圧倒的な学力を持った学生しか行かないが、決して理系科目のみを学ぶのではなく、文系の科目も充実している。スローン経営大学院も世界最高レベル。

 

Need-Aware:ほとんどの大学が採用するタイプ。入学審査の際に奨学金の必要性を考慮に入れるということで、つまり奨学金を得ながら入学するのは奨学金不要の生徒に比べ難しくなる。主として財務基盤が若干上にあげた大学より弱い学校に多い。

 

バラク・オバマ前大統領など名だたる卒業生を輩出したコロンビア大は、Need-Blindを採用していない超名門大学の1つ

 

という感じです。ちなみに、アマースト大学と並ぶアメリカ最高クラスのリベラルアーツカレッジ、ウィリアムズ大学は、Need-Blindとは言っていないのに、奨学金の有無は選考に影響を及ぼさないとHP上で言っている稀な大学です。そのような大学も存在はしますが、大きく分けるとこの2つのパターンになります。

 

 

 また、アメリカの大学学部での奨学金は給付型がかなり多く、それゆえ日本のように社会人になってから借金で苦しむといった事例は、奨学生の数に比べれば少ないと言われています。

 

 

日本との比較論

 

 

 さて、面倒なワードの説明はこのくらいで終わりにして、ここからは日本とアメリカの制度比較をしてみましょう。

 

 

 日本の場合、まずメリットとしてアメリカよりも圧倒的に安い学費で東大・京大といった大学で教育を受けられるというメリットはあります。もちろん今や東大といえどもアメリカのトップ大学には教育・研究・資金力・人材力などで太刀打ちできなくなってきています。とはいえ、世界のトップスクールに年間数十万円で通えるのは大きな利点だとは思います。

 

 

 また、日本はアメリカのような、圧倒的な経済力と学歴をもち、卒業後超高所得の職に就く人と、学歴と経済力のない恵まれない層の二極分化が進んでいないと言われていると思います。確かに、これだけ学費が違うと、アメリカほど日本には格差がないのかもしれないなあと思えるかもしれませんね。

 

 

 ただ、アメリカにはアメリカのメリットがあります。まず、給付型の充実した奨学金を出してくれるということは、学費が高いということとセットで考えても十分なメリットです。日本はいくら学費が安いとはいえ、東大ともなると塾に行ったり参考書を買ったりするのに圧倒的にお金をかけて入ってくる人も多くいます。私立高校のトップは学費も非常に高く、一概に東大生は親の所得に関わらず行ける大学だとは言いづらいのも事実でしょう。そう考えると、日本の方が格差は小さいと一概に結論づけられない気もしますよね。

 

 

 個人的には、日本もアメリカのように、学費が高い代わりに世界最高水準の教育を展開し、自分で費用を捻出できないなら寛大に奨学金を給付するというシステムに少しシフトしても良いと思いますが、皆さんのご意見はいかがでしょうか?コメント欄等に書き込んでください。

 

 

 最後まで読んでくださりありがとうございました。今回でアメリカの大学シリーズは一度凍結し、秋に入学後現地の生活についての記事として再開予定です。これからもよろしくお願いします!

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