学生の頃を振り返って
ー学生の頃、最も影響を受けた建築家や建築はありますか?
富山の奥山、利賀村にある磯崎新さんが作った利賀野外劇場ですね。夏に開催される利賀フェスティバルで演出家の鈴木忠志さんが主宰する劇団SCOTの演目「世界の果てからこんにちは」を石川高専の2年生のとき、先生、先輩に誘っていただき見に行きました。半円形の野外劇場の前に湖と山並が広がっているんですが、舞台を囲む観客の一体感と自然の闇のグラデーションを使う幻想的な演出、そして最後の花火で身体ごともっていかれるようなインパクトは衝撃的でした。「建築のデザインの可能性ってすごいな」って。そのとき建築単体じゃなく、僕は建築の中の活動と一体となって人の心の中に働きかける建築をつくれる人になりたいと思った。
それまでは、僕の中では建築ってイコール住宅だったんですけど、それらの住宅も建築家が設計した住宅じゃなく、大工さんに作られていたもっと身近な住宅で。だから、この劇場は自分の中の「建築」の概念をより公共的なものに、そしてより体験的なものにガラッと変えてくれた素晴らしい経験です。
ー学生の頃やってよかった、やればよかったことはありますか?
人と違ったことをやってユニークな経験と度胸を積んだことです。僕は大学を卒業して2年半、就職しないで、色んなとこに行って、色んなことをやって、本当にたくさんの人に会えた。それって周りから見たら「あいつ大丈夫か」って心配されることだけど、その時間があったからこそ今、チャレンジできている気がします。ただスキルは身につける必要はあると思います。20代のうちに、プロフェッショナルとしての下地をつくることは最低限必要だと思います。
ーかっこいい大人とはどんな人だと思いますか?
僕は正論を言う人が好きです。仕事がどんどん複雑になってきたり、社会で自分の立場ができてくると、正論って言えなくなる。ピュアじゃなくなってくる。でも、そんな中で、正論が言い続けられる人はとてもかっこいいと思います。
ー最後に大学生向けにメッセージをお願いします。
僕がなんで今の状況に至っているか考えてみると、その場その場で自分がワクワクする一番面白い選択肢を選んできたからだと思います。そしたら、なんとベトナムで独立までしてしまって(笑)。
学生の皆さんは、できるだけアンテナを広げて、一番自分がチャレンジできるところ、成長できると思うところを見つけて、飛び込んで行ったらいいと思います。背伸びも、もちろんしたほうがいいし、建築に限らず国内外で自分が素晴らしいと思うクリエイターのところに飛び込んでみて、肌で学んで、自分の進んでいくところを見つけていったらいいんじゃないかな。チャレンジを通して仲間もたくさんできると思います。
もちろん自分でゼロからやるって方法もあると思うんですけど、建築って1人で作れるものじゃないから、チームを作って、そしてそのチームの力を最大限発揮させて、1つの建築に昇華させていく力がこれからの建築を作っていくのに必要だと思います。
ーとても興味深いお話、ありがとうございました!
Takashi Niwa Architects
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