大学で学ぶ座学ではスキルアップの実感がなかなか得られません。では、どのように自分のスキルを高めれば良いのでしょうか。
今回は、学生団体 日本模擬国連代表の中村有沙さんにお話を伺いし、模擬国連の活動を通して様々な能力を向上させる秘訣を探りました。
日本模擬国連代表 中村有沙さん
目次
日本模擬国連とは?
—早速ですが、日本模擬国連はどのような活動をしているのか教えてください。
普段は毎週月曜から土曜日まで週に1回ずつ、勉強会という形で活動しています。2ヶ月に1度、研究会ごとに泊まり込みの会議が開催されるので、そのための勉強会です。それに加えて各自でリサーチや会議戦略を立てたりしています。
—会議ではどんなことを話し合うのですか?
会議ごとに1つの議題を決めて話し合っていきます。議題は国連で議論されたものを扱うことが多いです。例えば、憲法や国際法で書かれている表現の自由についてや、食糧安全保障の問題、国際紛争解決に至るまで幅広く扱います。模擬国連の議論はゲーム性があって、例えば、フランス大使を担当する場合は、フランスの立場や実際のフランス政府の公式発言等も参考にしながら、どんな主張や対応をするかまで特徴を分析して、議論を組み立てます。そして各国の主張を考慮しつつ問題を解決する政策を提言し合います。
—会議は英語で行なっているのですか。
通常は日本語です。会議によっては英語で話すこともありますね。大会ではいくつか英語会議が開催されます。また、実際の公式発言等は英語のものがほとんどなので、情報収集等で英語を使うことは多くあります。
活動を通して感じること
—幅広い国際社会の問題について日本語と英語を操って議論するんですね。ところで、中村さんが模擬国連に入ったきっかけはなんですか?
私は当初、国連に興味があり、実際に就職したいと思っていました。なので、ゲーム感覚で大使になって議論するということが面白そうだなと思ったことがきっかけですね。
—実際に活動を始めてみてどうでしたか?
最初は国の大使になって会議に出るといった模擬国連のパッケージの部分に興味があったのですが、中に入ってみたらスピーキング能力や思考力といった個人の成長につながるというところが模擬国連の大きな特徴だということに気づきました。
—どんな時に活動へのやりがいを感じますか?
自分の能力の向上が実感できたときだと思います。その実感の上で次の目標が見つかると、また活動の意義を見出すことができますね。
—能力の向上とは、具体的にどのような力ですか?
活動を始めた1年目は、スピーキング能力 議論する力、人前で発言する力が伸びたと思います。どうしても大学だと座学が多くなってしまうと思ったので、模擬国連ではそういった技術面を鍛えたいと思い活動に取り組んでいました。
2年生になるとある程度1年生で目標にしてきたことができるようになったと実感したので、技術的なことから論理的思考力や議題に対する視点の置き方などを工夫するようになりました。1年生まではマニュアル通りに動いていましたが、人と違う視点で動くことができるようになりたいと思い、自分で意識したり先輩や同期でできている人を参考にしてみたりしていました。他の人と違う視点で物事を考えられるかどうか、感覚を磨けるかどうか、ということに重点を置いていましたね。
3年からは代表という立場になったので、2年のときに重点を置いていた学術的なことよりも、社会的な能力を向上させることを目標として活動してきています。
—模擬国連の魅力を教えてください。
様々な目的を持った仲間がいることです。参加する際の選抜もないのでメンバーに多様性がありますね。さらに、会議では国際問題を扱うので多角的な視点や論理的な思考力を養うことができます。会議だけではなく、サークルのように企画を行って楽しんだりすることもあります。
これからの模擬国連
—幅広い活動で楽しみながらスキルアップできるんですね。それでは中村さんのこれからの目標を教えてください。
これは私がなぜ代表に立候補したかということにつながるのですが、1、2年と会員としてやってきて感じた模擬国連の弱点を解消したいと思っています。
どんな問題意識を持っていたかというと、今の模擬国連は一部の人が突っ走ってしまうような雰囲気を感じます。会議に興味はあるけれどもなかなか報われないという人たちを見過ごすことはできないので、抜本的に組織改革をしていきたいと思っています。模擬国連の会員全員が会議に参加する意義を自分なりに見いだせる状態にしたいですね。
—最後にサイトを見ている学生にメッセージをお願いします!
最初に自分の芯として持っていたものを原点として見失わないようにして欲しいですね。大学には自分の夢ややりたいことを持って入った人が多いと思います。でも、学部や部活、サークルなどの場に流されてしまうと、あっという間に学生生活が過ぎてしまいます。何かを経験するという意味で何かに所属したり挑戦したりすることはとても大切だと思います。でも、そうした中でも自分の本来の軸として持っていたものを忘れずに、将来に向かって頑張ってください。
—ありがとうございました!
【編集後記】
いかがでしたか?大学を飛び出して積極的に活動することにより話す力や論理的思考力、多角的な視点など様々なスキルが身につくのだということを感じました。私自身インタビューをしながら、大学生の今からたくさんのことに挑戦しスキルアップしていきたいと思いました。
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