メンタル・ストレス・ヘルスケア・人間関係

【インタビュー】第一三共ヘルスケア担当者に聞く、ロキソニン「”みんなの”生理痛プロジェクト」に込めた思い

皆さんこんにちは!ガクセイ基地のまなみです。

今回のインタビューでは、「みんなの生理痛プロジェクト」について第一三共ヘルスケア株式会社の鈴木様に取材をさせていただきました。

高校生やその保護者、学校の先生に向けて行っている「生理痛について“学び・考える授業”」に込めた想いや、私たち大学生が知っておきたい鎮痛薬や婦人科のことなど、様々な角度からお話を伺っています。

では早速!

我慢をなくしたい―「みんなの生理痛プロジェクト」が始まった理由

↑「みんなの生理痛プロジェクト」ロゴ

―本日はよろしくお願いいたします!改めて、「みんなの生理痛プロジェクト」が始まったきっかけや背景について教えていただけますか。

ロキソニン「みんなの生理痛プロジェクト」は2023年に、国際女性デーである3月8日に立ち上げました。そのきっかけは、生理痛向けの鎮痛薬「ロキソニンSプレミアムファイン」の発売に先立って行った生理・生理痛の実態調査でした。 

20代から40代の女性に行った調査の結果でとても驚いたのは、「生理痛のとき、何かしらの我慢をしたことがありますか?」という質問に対して、「はい」と答える方が90%以上と、圧倒的に多かったことです。

生理痛で、症状がということだけでなく、それを我慢しないといけない。その我慢は、ご自身で「生理痛ってこういうものだから」と思っている部分と、周囲の環境がそうさせている部分とそれぞれあるのだと気が付きました。「我慢」を生み出すその両方にアプローチできるような活動をしたいということで、「みんなの生理痛プロジェクト」を立ち上げました。

―「#生理痛を甘く見ないでほしい」というブランドメッセージ。文字として見るとかなり強いインパクトがありますよね。生理痛に対しての痛みや負の側面がリアルに表現されていると感じたのですが、どういった思いを込められたのでしょうか?

生理痛が周りに理解されずに我慢せざるを得ないという状況が続くと、当事者も「2~3日我慢すれば収まるし、生理痛の期間がずっと続くわけではないから」といつの間にか我慢以外の選択肢がなくなってしまう

そして、周囲の人は、「生理痛で会社や学校、バイトを休みたい」と言われても「本当なの?」と。

―言われますよね……。そういったことがあまりにも嫌で、高校受験のときに水泳の授業がない学校を探したことがあります。

冒頭でお話した調査でも、男性に限らず、女性から理解を得られなかった経験があるとの声が寄せられました。女性同士であっても、「生理痛は個人差が大きく、症状の感じ方やつらさも人によって違うもの」との認識が浸透していない実情を感じました。

生理痛ってもしかすると病気が隠れているかもしれない。そうではないケースもたくさんありますが、症状を我慢した結果、病気の可能性を見過ごしてしまうことがないように自分に合った対処法を見つけていただくこと、それと併せて、婦人科の受診も検討いただきたいという思いもあって「#生理痛を甘く見ないでほしい」というブランドメッセージにしました。

―ぱっと見たときは勝手に「男性に向けてのメッセージなのかな」と考えていましたが、「我慢」を内面化しているかもしれない女性にも……!かなり刺さっています。

↑2023年に20~40代の生理がある女性に行われた
生理・生理痛の実態調査の結果

―生理・生理痛に関する実態調査で、印象に残っている調査結果について伺いたいです。

昨年(2024年)は高校生についても調査を行ったのですが、生理痛の経験がある高校生の7割弱が「⽣理痛が学校⽣活に⽀障をきたしたことがある」、そしてその中でも、96.7%の方がその症状を「我慢をしたことがある」と回答をしていました

20代~40代の方に行った調査でも9割以上の方が「生理痛の症状を我慢したことがある」と答えていたことを考えると、高校生の段階から生理痛を我慢しないといけない環境になってしまっているのだなということに一番驚きましたし、課題にも感じました。

↑15~18歳の女子高校生に行われた
生理・生理痛に関する実態調査の結果

高校生も大人も!生理痛を一緒に「学び、考える」授業

―「みんなの生理痛プロジェクト」で行われている、高校生や学校の教員向けの「生理・生理痛について”学び・考える”授業」について質問させていただきたいなと思います。どのようなきっかけで企画されたのでしょうか?

生理痛の対処法のひとつである鎮痛薬 を服用できる年齢が15歳以上ということから、高校生の方々に生理痛の正しい情報に触れていただきたいという想いで企画しました。

※市販の鎮痛薬のうち、服用年齢が15歳以上である非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の成分を配合したもの。(ロキソニン解熱鎮痛薬シリーズもこちらに該当)

ただ、生理痛に悩んでいる高校生がいらっしゃることはわかっていたものの、実際どのように生理痛に向き合っているのか、どのくらいの情報に触れているのかという部分があまり見えなくて。その中でいきなりこちらが働きかけるのではなく、まずは本活動の趣旨に賛同いただいた学校の先生方に相談をしました。

その中で、学校生活で生理や生理痛を話題にしたことがないとの声をいただいたことから、まずは先生方に向けてセミナー・ワークショップを行いました。その後、先生方からいただいたアイデアを取り入れ、生徒向けの授業を行いました。

↑実際に行われた授業の様子

―授業をするにあたってのこだわりや、気を付けた部分について教えてください。

産婦人科医の先生に本当に専門的な話をしていただくことで、まずは正しい情報を知っていただきたいなと思っています。

そして、知っていただいた上で、自分自身や周囲の人に対してどういうことができるのだろうかと考える。一方的に話を聞いて終わらないところがこの授業のポイントかなと感じています。ただ、同時に、ディスカッションや質疑応答を行う際の心理的安全性を担保することにはとても気を遣っています。

「生理の話を積極的にしてください!」という場ではないので、話したくなければ話さなくてもよいし、ディスカッションを行うときも「自分の経験談を言う必要は全くない」と必ず伝えるようにしています。もちろん話してもよいけれど、「あなたはどうなの?」と聞くことはしないように声をかけていますね。

なので、「第三者がもしこうだったら、あなたならどうしますか?」「つらそうにしている人がいたら、どんなアクションをとれると思いますか?」という第三者を客観的に見ているような視点でディスカッションができるようにしています。

↑実際に行われた授業の様子

―教育学科の授業では、養護教諭などの免許を取ろうとしない限りは、生理痛について扱うことがジェンダー系の科目でしか無くて……。なので、授業の実施だけでなく、先生向けの教材配布もしてくださることがとても有難いなと感じています。

なるべく多くの方に知っていただきたいと思う一方、授業を行う学校には限りがあることが課題だと感じています。そこで、当事者の生徒さん向け保健教材と、保護者向けの情報冊子をそれぞれ作って、学校にお送りする取り組みも行っています。

実際に、学校の先生に授業で使っていただいたり、生徒さんが保健室に来たときに渡していただいたりしているそうです。先生方から、「課題意識はあるけれど何をしたらいいかわからない」とのご相談をいただくことがあるので、保健教材が取り組みのきっかけになれば嬉しく思います。

↑実際にダウンロードができる、
生理・生理痛に関する保健教材

生理痛と上手に付き合うために。知っておきたい鎮痛薬と婦人科について

―受験や試験、就職活動など、どうしたって休めない「大一番」のときに生理痛が被ることはどうしてもあると思っていて。どのようにして折り合いをつけていくのか、生理痛に向き合って行くのがいいのか、かなり悩んでいます。

まずはご自身の体調を知ることが大切だと思います。ストレスがかかると生理痛を重たく感じることもあると言われていますので、アプリなどで周期を把握するということもそうですし、日常生活の中でつらいと感じることや不安なことがあったら一度婦人科に行っていただくことも検討いただきたいです。

↑質問に答えていくと完成する「MY生理カルテ」。
体調の把握や、婦人科を受診するときにも活用ができる。

🔍「MY生理カルテ」の作成はこちらから!

生理痛がつらいと言っても、病気に起因しない場合と、何か病気が潜んでいる場合があります。そのどちらかがわからずに、モヤモヤしたままだと不安が募ってしまうこともあると思います。痛みだけでなく、PMS(月経前症候群)も含めて、学校やバイトを休みたくなるくらいつらい=生活に支障をきたしている場合は一度相談いただくことをおすすめしたいです。

日本女性医学学会が女性医学分野の専門家として認定した医師のリストも公開されていますので、ぜひご参考にしていただけたらなと思います。

―婦人科に行くことって、何も悪いことでは無いはずなのに勝手に罪悪感を抱いてしまいがちです。実際に病院に行ってからの流れはどのような感じなのですか?

婦人科の診察だと、やっぱり内診台で足を開くイメージがあると思っていて。

―あります!そこが怖くて……!

内診しか選択肢が無いという訳ではありません。一般的な受診の流れは、初めに問診表に最後の生理期間や悩みなどを記入します。風邪などで初めて病院を受診するときに色々記入するのに近いかもしれませんね。

次に、抱えているつらさや生活習慣について先生とお話しする「問診」を行います。その後、症状や問診の内容に応じて、内診や検査を行うことがあります。性交渉の経験がない人や、心理的抵抗のある人には、内診の代わりに超音波検査(経腹エコー)をすることもありますので、不安なことがあれば先生に相談してみると良いと思います。

生理痛プロジェクトのホームページに婦人科受診の流れが載っていますのでぜひ参考にしてみてください。

―問診でお話しするときに、うまく話せなかったらどうしようということも心配だったので、そう聞くとかなり楽に考えられそうです!

「ロキソニン」をはじめとした鎮痛薬の服用について、「身体に耐性がついちゃうから」と止められることが多いのですが、実際はどうなのでしょう……?

市販の鎮痛薬で、外箱や中に入っている添付文書に書いてある用法・用量を守っていただいている範囲であれば効きにくくなることはありません。ただし、正しく服用をしても痛みが治まらなかったり、月に10日以上服用してしまう場合は病院を受診いただく目安です。

ロキソニンの場合は、ロキソプロフェンナトリウム水和物という解熱鎮痛成分が入っているのですが、その成分の効き方としては、痛みの物質が出る蛇口があるとすると、ワーッて物質が出ている蛇口を止める役割を果たしています。そのため、一度蛇口から出てしまった痛みの原因物質がなくなる訳ではありません。なので、なるべく我慢せずに早い段階で服用していただきたいです。

服用にあたっても、服用する前にしっかり食事をしないといけないと思われるかもしれませんが、飴やクッキーなどを軽く食べていただいたり、水を多めに飲んで服用いただければ問題ありません! 

―タイミングを逃してしまったり、食欲が全然わかなかったりするときもあるのでとても有難いです!服用によって眠くなってしまうという話も聞くのですが…。

”鎮痛薬=眠くなる”ということではありません。鎮痛薬の中には、鎮静成分が入っているものがあり、その成分が眠気を引き起こしてしまうことがありますので、気になる方は、ドラックストアで薬剤師さんに成分について聞いてみたり、箱の成分表示を見ていただきたいと思います。

―成分はもちろん、自分が普段きちんと睡眠をとれているのかも一緒に確認したいポイントですね!

つらいに寄り添う、「ロキソニン」の特長を深掘り

「ロキソニン」の特長についても深ぼっていきたいのですが、「ロキソニン」は今どのくらいの種類があるのでしょうか。

飲むロキソニン(ロキソニン解熱鎮痛薬シリーズ)は現在5種類の製品を展開しています。

全ての製品に共通して配合されているのが、解熱鎮痛成分「ロキソプロフェンナトリウム水和物」で、痛みの原因物質が作られるのをブロックする働きがあり、頭痛や生理痛に速くよく効きます。

「ロキソニンS」はロキソプロフェンナトリウム水和物のみの単味剤ですが、その他の製品は、ロキソプロフェンナトリウム水和物以外に、効きめや胃へのやさしさを考えた特長があります。

「ロキソニン」シリーズの特長
「ロキソニンSプラス」・・・
胃にやさしい成分※1を配合。さらに、飲みやすい超小型錠※2です

「ロキソニンSクイック」・・・
服用後に錠剤が素早く崩壊。さらに胃を守る成分※3を配合し、速さとやさしさを同時に追求しました。

「ロキソニンSプレミアム」・・・
なんとかしたいつらい頭痛に、鎮痛効果を助ける2つの成分※4と胃を守る成分※3を配合。速さはもちろん、効きめ、やさしさまで考えた処方です。この製品には、先程お話しした眠気を引き起こす鎮静成分が入っています。


―そして、冒頭にも出てきた「ロキソニンSプレミアムファイン」が特に生理痛によるつらさに向けたものになるのですね。

はい、「ロキソニンSプレミアムファイン」は、生理特有のしめつけられるような痛みを和らげる成分「シャクヤク乾燥エキス」と冷え・血行不良による痛みの緩和を助ける成分「ヘスペリジン」、さらに胃を守る成分※3も配合した、独自処方の鎮痛薬になります。

※1 酸化マグネシウム
※2 第一三共ヘルスケアの1回1錠型解熱鎮痛薬で最も直径が小さい錠剤
※3 メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
※4 アリルイソプロピルアセチル尿素、無水カフェイン

↑「ロキソニンSプレミアムファイン」

―開発にあたって、研究などの段階でこだわった部分を教えていただきたいです。

生理痛に鎮痛薬を使っている方にアンケートを実施すると、90%くらいの人が、いま使っているもので『おおむね満足している』と回答された一方で、『もう少し速く効いてほしい』『もう少し胃に負担がないものがあるとうれしい』などの声も少なからずありました。

そこで、つらい生理痛への効きめを考えて、痛みの原因と悪化要因を考えた独自の処方を開発しました。

「生理痛」をタブーにしない。誰もが安心できる社会への第一歩

―日頃SNSを見ていても、「生理痛」のタブー視や特権扱い、「我慢」を求める空気感がまだまだ残っていると感じています。生理痛をはじめとした、体調不良を周囲の人に伝えるときに、心理的安全性をつくるためには、どういったことが大切でしょうか?

まずは正しい情報を知ることが第一歩だと思っています。そこを知っていれば、いつもと違ってつらそうにしている女性がいたときに、もしかすると体調が悪いのかもしれないと思えるかもしれません。

例えば、骨折は目に見えて症状がわかりますが、生理痛のように「目に見えない体調不良」は他にもたくさんあると思います。「パッと見ただけではわからない体調不良もあるよね」ということを皆が共有できていれば、その体調不良が生理痛かどうかを知る必要もきっとなくなるのではないでしょうか。

―……確かに??!そもそも社会がもっと心身を休めることに寛容になればいいのか……‼

シンプルに、「今この人は体調が悪い」ととらえられたら、「何か声をかけたり手伝ったりするべきか?そっとしておいたほうがいいか?」と次の選択肢が出てきますよね。やっぱり、まずは「知ること」。これが一番大切だと思います。

「正しく」知ろう!学生に伝えたい、生理痛プロジェクトの想い

―「みんなの生理痛プロジェクト」をはじめとした、生理痛の理解促進に向けた取り組みに対しての今後の展望を伺いたいです。

2024年から、「みんなの生理痛プロジェクトfor TEEN」として高校生を中心にティーン世代の方々に正しい情報を知っていただく活動を始めました。

さらに、保護者の方や学校の先生方など、学生の皆さんをサポートする周囲の環境もとても大切だと感じています。学生の方たちと、周りでサポートする方々それぞれに対して、正しい情報を知っていただくためのきっかけ作りをこれからも行っていきたいと考えています。

―最後に、記事を読んでいる学生に向けてメッセージをお願いいたします!

性別や生理痛の有無に限らず、ご自身の体調の変化を知ることはとても大切です。そして、もし生理痛に悩む学生さんがいらっしゃったら、自分にあった対処法を探していただくこととあわせて、一度婦人科に行くことも検討していただきたいと思います。

そして、男性の学生さんや、生理痛について悩んでいない方も、生理痛には個人差があって、学校や仕事を休まなくてはいけないくらい症状が重い人もいることを知っていただけるだけでも、生理痛で悩んでいる方にとってはとても安心できるのではないかなと感じます。

ぜひ「知る」きっかけとして、「みんなの生理痛プロジェクト」が発信する情報が少しでも参考になれば嬉しいです。

―ありがとうございました!

【みんなの生理痛プロジェクト 公式Webサイト】

🔍公式Webサイトはこちらから!

【ロキソニン 公式Webサイト】

【第一三共ヘルスケア株式会社 公式Webサイト

【編集後記】

痛くてくるしくてしんどいけれど、「じゃあ来ないようにすればいいじゃん!」という結論に留める訳にはいかない、そんな存在が生理痛だと感じています。生理痛以外の「目に見えない体調不良」で悩んだり、つらいなと思ったりしたことがあるのは、きっと性別や年齢の枠にとらわれず皆そうなのではないでしょうか。

自分の身体の状態としっかり向き合うこと、病院に行って専門家に相談すること、必要に応じて治療をすること、本当にしんどいときはしっかりと休むこと。毎日忙しくて、なかなかこういった風にがっつり自分のことに集中することが、今の段階では難しいかもしれない。それなら皆でもっと誰もが「休める」社会を目指していきたいなぁと思いました。

誰かを労ることは、自分を労ることにもなるから。生理痛も風邪も心の不調も、「こういうものだから」で見過ごすの、私たちでもう最後にしたい。

改めて、お話を伺った鈴木様を始めとした、この取材に関わってくださった全ての皆様に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました!

📍取材・記事執筆を行いまし

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manami

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