その他 企業研究

お金で買えない価値が有る、伝統工芸の可能性!一流商社マンから鼈甲業界へジョブチェンジ、対極の世界から見える心理とは!?(江戸鼈甲屋/石川浩太郎様)

 伝統工芸のお仕事といわれたら、皆さんはどんな様子を想像するでしょうか?

テレビなどで見かけたイメージはあるものの、私たちには縁もゆかりもない未知の世界のように感じる方が多いのではないでしょうか。今回はそんな日本の伝統工芸品である「鼈甲」の老舗、鼈甲石川七代目の石川浩太郎様に取材させていただきました。

 石川様は、鼈甲の家系に生まれながらも海外に興味を持ち、学生時代の留学を経て商社にお勤めされます。現在は幼少期より手に染みている制作技術と商社時代の経験を生かし、製造面や営業面など様々な角度から鼈甲業界を導かれていらっしゃいます。

 

まずは、そもそも鼈甲とはなんぞや…という方のために、軽くご説明。

 

鼈甲(べっこう)

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熱帯に棲むウミガメの一種・たいまいの甲羅の加工品で、背と腹の甲を構成する最外層の角質からなる鱗板を10枚程度に剥がして得られる。色は半透明で、赤みを帯びた黄色に濃褐色の斑点がある。黄色の部分が多いほど価値が高い。工芸品の素材に使われる。現在では希少価値のほか、プラスチックとは異なる軽い質感を求めて鼈甲製品を購入する客層は厚い。(Wikipedia参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/鼈甲)

偽物なら見たことある方も多いのではないでしょうか。本物は亀の甲羅を使って何人もの方で分業をしながら制作し、1つを作るのにおよそ一ヶ月もの時間がかかる高級品だそうです。

 

鼈甲石川七代目 石川浩太郎様

6代目石川浩太郎

鼈甲石川

 享和2年(1802年)に日本橋馬喰町に初代が創業した江戸鼈甲の老舗。200年以上の歴史を持ち、和装小物を中心に発展した。また鼈甲製の時計バンドやアクセサリーなど多種多様な鼈甲製品を手掛ける。

 2012年に新たなかたちの鼈甲ブランド”江戸鼈甲屋”、”ROMAN BE”,”TRAVUNE”の三ブランドを同時に立ち上げる。

 また、新聞・雑誌・TVなどに多く取り上げられ全国の主要デパートやホテルの催事場にて出店中。

(江戸鼈甲HP参照:http://edo-bekkoya.com/works/)

 

 

 

 

-毎日のお仕事について簡単にお教えください

 我が社は、メーカー兼小売として作る方と売る方との両方をやっています。毎日の生産体制の下で商品を作り、それと並行して本店店頭での販売や通販雑誌卸売り、全国の主要デパートでの催しへの出張販売をしています。

 私が代表でデパートに呼んでいただき、展示会や催しのオファーをいただきます。一年の半年くらいは、北は北海道から南は鹿児島まで全国各地に出張しています。

 

-お仕事へのやりがいを教えてください

 ベースは物作りなので、商品を作った上での評価が実際にいただけることが生きがいですね。誰も作ってないものを作ってそれが評価される面白さは、物作りに準じている人ならみんな感じるでしょう。

 また「僕らは何でも作れる」という面白さがありますね。大企業ではないから、個々が考えた新しい物を作りやすい環境なので。基準がないので、自らどんどんやっていい環境が面白いです。例えばアプリを作るときは、スマホに沿ったアプリしか作れない、つまりハードを作ることはできないんです。一方我々は既成概念がないから、ハードから自由に作れるのが物作りの魅力ですね。

 

-この業界に入ったのはなぜですか?

 僕は元々アメリカに留学していて、卒業後は商社でドイツと日本を行き来して働いていました。海外に出たことで日本の良さに気付き、自分の家の仕事に魅力を感じることができました。それでもこの仕事をやるつもりはありませんでした。しかし、家の経営が厳しくなりやらざるを得ない状況になってしまい、一年くらい手伝いのつもりで入ったのですが、いつのまにかどっぷりはまっていました。

 

—どうしてはまったのですか?

 伝統工芸の資本に左右されないところが勝ち得る企業価値、そこに可能性を感じたからです。一般企業は資本主義にのっとったお金の世界です。例えば、ある事業に一億かけられる企業と十億かけられる企業だと、十億の企業が必ず勝ちます。それは資本主義のベースとしてしかたないことです。もしも一億の企業が勝つためには、特許や自分にしか無いものが必要になります。伝統工芸はまさにそこなのです。十億の企業がいかにこの鼈甲の仕事をしても、この技術や経験はお金では変えません。

 また、お客さんと顔を合わせ、一言一言話をして需要を得るということに魅力を感じています。昭和初期からメーカーと問屋のシステムは確立されていました。基本的にこのベースは変わっていません。しかし、時代が変わると共に昭和初期のシステムに乗っかったメーカーはどの業界も苦しみました。卸や問屋が買わなくなれば、メーカーはユニクロが自社で工場を持つように、生産と小売りを両方せざるを得なくなしました。僕が入ってからその両立をやりました。問屋さんを回って頭を下げ、問屋さんを通さずに自分達が売るようにしました。バブルが崩壊してから10年くらい、どの企業もどん底でした。そういう時代たったからこそ、逆に変革もしやすかったのかもしれないです。新しくなにかをするには良いタイミングでした。

 対面を重視するベースは、江戸時代にあります。その頃も問屋はありましたが、基本は買い手が職人に「こんなの作ってくれ」「わかりました、作りましょう」と、面と向かって直接やりとりをしていました。それって今でもすごく重要だと思うのです。工芸品は安いものではないから、顔を見て話してお客さんにフィーリングで対価を払えるかどうか判断してもらう。今はネットが錯綜しているからこそ、僕らのアイテムって真逆にしなきゃいけないと思っています。それが江戸時代に逆行するようですが、とても斬新というか新しいものに感じています。それは資本に左右されてない僕らが、維持しなきゃいけないことだと考えています。この店も、お客さんと触れ合える場所・直接話せる場所を作にしようと思いました。

 

—商社の経験があったからこその発想ですね。

 そうですね。陰があれば陽もあって、陽があれば陰がある。対極しているものって絶対必要なんですよ。対極があるからそれを感じられる。それが、僕の商売のベース・生き方のベースにあります。だから矛盾しているようですけど、真逆のことが実は重要だと考えています。情報が片方にあればあるほど、アナログの対応や顔を合わせることというのは重要視されます。物作りにおいても、機械導入して量産すればいいという考え方もあるのですが、面白くないんですよね。それをやると結局資本の世界になってしまうので。腕とか技術というのは資本に左右されない面白さがあるので、そこをいつも念頭に置いています。

 

 

 

 

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