メディア 企業研究

証拠に基づき、報道の正確性を検証する/日本報道検証機構

様々な情報が氾濫する今の世の中、嘘の情報もたくさん耳にしますよね。何が嘘で何が真実か、正確に分かる人は少ないのではないでしょうか。

 ソーシャルビジネス第一弾は、「報道の正確性を検証する」という新しい切り口で誤報という社会問題の解決に挑む、日本報道検証機構さんです!代表の楊井人文(やないひとふみ)さんにお話を伺いました!

 

 

 

メディアの報道品質向上のために

 

・活動内容について教えてください。

「GoHoo」という、マスメディアの報道に事実誤認やミスリードがないかどうかチェックし、正確性に疑いのある記事・ニュースを集約・一覧できるようにするためのサイトを作っています。

 

・なぜこの活動を始めようと思ったのですか?

私はかつて新聞記者を経験した後、事実と証拠を取り扱う弁護士の仕事をしています。東日本大震災の時、自分に何か出来ることは無いか、このままの生き方で良いのだろうか、などと多くの人が考えたと思います。また、震災報道や福島原発事故の情報は錯そうし、メディア不信が広まりました。

自分の経験を生かせば、誤った情報に惑わされないための仕組みを作れるかもしれないと思い、この活動を始めました。

 

・GoHooのサイトを見させていただいたのですが、NHKにさえ誤報、情報の隠蔽があると書いてあり驚きました。公共放送でも誤報があるのは仕方がないのでしょうか?

 NHKは公共放送であり信頼度が高いと見られがちですが、NHKだから全ての報道が正しいということはありえないのです。誤報というのはどのメディアにも起こりうる問題で、絶対に間違いをおかさないメディアは世界中探してもひとつもないと思います。

実際は、メディアの報道の大半が正確なのです。ですが、一部に誤りが生じるのは避けられないことです。問題は、メディアが訂正することに消極的で、訂正されないまま誤解が残ることです。自主的な訂正だけに任せてしまい、第三者がチェックする仕組みが確立されていないのが問題だと考えています。

 

・しかし、何が誤報であるかを検証するのは非常に難しそうですが、一体どうやって真実を見抜いているのすか?

我々は、誤報を見抜く特別な術を持っているわけではありません。多くの場合は、関係者や読者など外部の指摘で誤報が発覚します。

我々が誤報を検証する際には、まず真偽を判定できる「事実」の問題を取り扱うようにしています。そしてどんな時も、必ず証拠(エビデンス)に基づいて事実かどうかを見極めています。根拠なく誤報であると決めつけることはできません。きちんと事実関係を調査して、裏づけをとり、間違いなく誤報、あるいはその疑いが高いと分かって初めて発表しています。

 

・このお仕事をしていて、大変なことと嬉しいことをそれぞれ教えてください。

事実かどうかを見極め、正確な事実認定のために必要な証拠を見つけることには、やはり毎回苦労しますね。それと、社会起業は収益化が難しい仕事なので、マネタイズの仕組みを作るのが非常に大変です。

反対に嬉しいことは、こういう活動が意義のあることだと応援してもらえることです。特に、メディアに関わっている現役の方から「ぜひ頑張ってください」と言ってもらえることはありがたいことです。

また、かなり稀なケースですが、誤報を指摘したある新聞社から、「本来、自ら誤りを正すべきところ、間違いを正す機会を与えていただいたことにお礼申し上げます」と責任者の方から感謝のお言葉をいただいた時は、やはりやっていて良かったなと思いますね。 

 

ソーシャルビジネスグランプリで審査員特別賞を受賞

 

・社会起業大学が毎年開催しているソーシャルビジネスグランプリで、2012年夏にGoHooの構想を発表し、審査員特別賞を受賞されたそうですね。

自分の構想を初めて社会的に向けて発表した場で、高い評価をいただいたことは嬉しかったですね。ここから始まるぞと胸が高鳴りました。

一番嬉しかったのは、審査員の田坂先生という方が我々の活動を非常に端的な言葉で、「メディアの進化の触媒に」と言い表してくださったことです。たった一度プレゼンを聴いただけで、我々の活動の本質を見抜いていただけたと思い、今でもこのフレーズをとても気に入っています。

 

 

・確かに、GoHooの事業内容を一言で見事に表した言葉ですね。
しかし、このソーシャルビジネスをどうマネタイズするか、具体的な策は見えてきましたか? 

色々な策は講じているのですが、正直なところ難しいです。

GoHooとしてウェブサイトの広告などで収益を上げるのは限界があるので、紙媒体にして、しかるべきところに届けて対価をもらうというのがひとつの方法かなと思っています。今はまだ「知る人ぞ知る」という状態なので、これから軌道に乗せ、ソーシャルビジネスとして、きちんと収益が出る機関にしたいです。

 

メディアの報道はどうあるべきか?

 

・伝え方(表現の仕方)によって、事実であっても、伝わり方が偏った報道になってしまうことがあると思いますが、GoHooが中立で誤報を本当に客観的な立場で検証しているという証明はどうやっているのでしょうか?

結局のところ、中立かどうかは第三者が判断することです。

我々は証拠(エビデンス)を開示することで、我々の事実認定が本当に中立に判断されているのかどうかの判断を読者ができるようにしています。

政治的に右とか左とか関係なく、満遍なくメディアを検証するよう心がけています。

 

・なるほど。
ところで、メディアはご意見番のような、ある程度どちらかの立場で発信した方が良い場合は無いのでしょうか?

確かに、一方の立場から物事の一面にフォーカスして見れば分かりやすいです。でも、世の中の問題は複雑化して単純に割り切れる問題はほとんどないと私は思います。だから、そういう特定のスコープで見る記事もいいと思いますが、そうでないスコープで見る記事も同時に必要だと思うのです。両方読んで初めて、全体像が見えてきます。

メディアの役割は、読者に考える材料を提供することであり、メディアが考える結論を読者に誘導することではないと思っています。メディア自身の主張はあってもいいですが、メディアの主義主張とニュース報道は混同しないこと、読者が自分たちで考えて結論にたどりつけるような報道をすることが大事だと思います。メディアが、自分たちの立ち位置に都合の良い情報だけを書けば、すっきりとしたストーリーのニュースはいくらでも作れてしまいます。

話が飛ぶようですが、刑事事件であれば、検察官が有罪にするために、供述の中から、有罪に結びつくものだけを集めて綺麗な文章にして「この供述調書を見れば誰が読んでもこの人は有罪だな」と読めるものを作るのは簡単なことなのです。報道も同じことで、優秀な人はそういうあらかじめ結論に都合のよい文章をすぐ作れてしまいます。そうした記事はえてして事実が捻じ曲げられてしまいますし、そうした結論ありきの報道で物事を単純に理解できる問題は少なくなってきているのではないでしょうか。メディアは結論が見えるすっきりとしたニュースではなく、事実を正確に報道して考える材料を提供し、そこからどういう結論を出すかは個々の読者に委ねるべきだと思うのです。 

 

 

 

・10年後や20年後の展望を教えてください。

妄想の域になってしまうのであんまりイメージできませんが(笑)

まずは、安定して運営し続けることが第一です。市民型の第三者機関として日本に根付くような組織にしていきたいです。

我々の活動を通じてメディアの報道の品質を上げるのが理念ですので、品質の高いものは高いものとしてきちんと評価していく仕組みを作り、日本のメディアが少しでも良い方向に向かうように頑張りたいと思います。

 

・学生へのメッセージをお願いします。 

私もこういうことをやるなんて学生の頃はまったく考えていませんでした。

ソーシャルビジネスというのは「やりたいな」という漠然とした思いだけでやれるものではありません。

私の経験から言うと、関心のある活動とかをやっているところがあれば、どんどん手伝いに行くとか、参加しに行くということですかね。とにかく傍観者にならないことです。

実社会の中で飛び込んで、せっかく時間が豊富にあるので、色々なものを経験するというのが重要なのかなと思います。勉強も大事だけど、経験が一番。その中でやるべきことが見付かれば良いのではないでしょうか。

 

・次に、メディアを志望する学生へメッセージをお願いします。

新聞記者として一番駄目なのは、ジャーナリストでなくなっていくことです。最初はジャーナリストを目指し働き始めるのですが、段々とただの会社員になってしまう。システム上、そうなってしまいがちなのです。新聞社という組織の歯車の一つになってしまう人が大半です。

でも記者というのは、サラリーマン記者である一方で独立したジャーナリストとしての志を保ち続けないといけません。そうでないと良い記事は書けないし、やっていても虚しくなるだけ。ジャーナリストとしての心構えというものをしっかりと持ってから、この業界に入ることをお勧めします。

 

 

楊井人文さん、どうもありがとうございました!

 

<Information>

▼マスコミ誤報検証・報道被害救済サイト「GoHoo」
http://gohoo.org/

▼日本報道検証機構公式サイト
http://wanj.or.jp/

▼日本報道検証機構/GoHoo応援サイト
http://gooddo.jp/gd/group/watchdog/

▼日本報道検証機構への寄付サイト
http://wanj.or.jp/15060101/

▼日本報道検証機構へのインターン希望など問い合わせ先
http://wanj.or.jp/#contact

 

【ソーシャルビジネス企画記事一覧】

コラム:ソーシャルビジネスって何?この記事ひとつで丸分かり!

(第一弾:証拠に基づき、報道の正確性を検証する/日本報道検証機構)

第二弾:強い経営で、障がい者雇用に対する理解を伝える/日本理化学工業

第三弾:みんなの夢を実現する伴奏者でありたい/ソーシャルビジネス・ドリームパートナーズ

第四弾:Facebookのいいね!で、“公共革命”の足がかりに/gooddo株式会社

第五弾:発達に課題があっても受け入れられる社会を目指して ハッピーテラス株式会社

第六弾:多様な経歴やハンデがある人を雇用する/アイエスエフネットグループ

 

(編集後記)

誤報を第三者が検証するという活動はよく考えてみれば絶対に必要なはずなのに、これまで他に誰もやっていないのが不思議です。メディアの在り方が問われている現在、日本報道検証機構は大変貴重な存在だなと思いました!

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