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世界を周る写真家に聞く。独り旅の魅力とは。/竹沢うるま

あいきゃっち

 

夏休みをただ漠然と過ごしていませんか?仕事を始めたら長期休暇を取ることは難しいと思います。この学生時代 にしかない長期休みという時間に独り旅をしてみませんか?旅は自分自身を見つめ直す、貴重な経験です。今回は、世界130カ国以上を周ら れている写真家“竹沢うるま”さんに独り旅の魅力についてお話を伺ってきました。

 

写真家:竹沢うるま

1977年生まれ。同志社 大学法学部法律学科に入学。在学中、沖縄を訪れて海の中の世界を初めて見て驚き、自身が見て感じたことを記録に残そうと写真を始め る。その後、アメリカ一年滞在を経て、独学で写真を学ぶ。卒業後、ダイビング雑誌のスタッフフォトグラファーとして水中撮影を専門と し、2004年より写真家としての活動を本格的に開始。2010年〜2012年にかけて、1021日103カ国を巡る旅を終え、現在に至る。Urumaは沖縄の方言で珊 瑚の島という意味(HPから引用:http://uruma-photo.com/about

 DSC_0160

 HPのプロフィールを拝読し、沖縄での出会いが人生の転機であったと書かれていますが、なぜ沖縄を訪れようと思ったのですか?

高校の時にラグビーをやり、大学では勝ち負けにこだわらないことをしたいと思っていました。そんな時、大学でダイビングサークルに勧誘され、その合宿で訪れたのが沖縄でした。

沖縄との出会いは、サークルの合宿だったんですね。学生時代、他に訪れていた場所はありましたか?

 日本はほとんど沖縄だけでしたが、夏休みを利用して沖縄の島を転々と野宿しながら、テントとカメラ、シュノー ケルを持って海に潜って写真を撮っていました。

海外は、インドネシアやマレーシアなどのアジアにちょくちょく行っていました。

うるまさん写真 niger(写 真:アフリカ ニジェール共和国)

学生時代はそれほど多くの国に行っていたわけではないんですね。大学生におすすめの場所があれば教えてください!

どこでもいいと思います。

ただ、重要なのは自分の生活範囲・行動範囲から出ることです。例えば、東京に住んでいる人が北海道に行ってみ よう、群馬県に行ったことないから行ってみたり。自分の生活範囲では行かない場所にあえて行ってみること。どこに行くべきかは人それぞれ なんですよね。そして、何をしたいのか、何をしにいくのか、その人がどういう人なのかによって行き先も変わってきます。

目的によって行く場所は人それぞれということですね。では、そもそもな ぜ世界を周ろうと思ったのですか?

 21歳の時から写真の仕事をしていて、もっと広い世界があるのにも関わらず、自分のフィールドが限定されているように感じてきました。先ほども言ったように自分にとっての生活範囲の外にでることが大切だと思っていたので、その時点で訪れていない130カ国を周ってみよう、新しい世界を見てみようと思ったのがきっかけです。32歳まで年間12~15カ国くらい取材の撮影で様々な国に行きました。一回の撮影が1~2週間くらいなので、1年間の半分は海外にいました。

 うるまさん写真(写 真:南米 ブラジル)

少し話は変わりますが、竹沢さんの写真の多くは、人のいきいきした表情を切り取っていますが、カメラを向けた時に、相手の自然な表情を引き出すコツはありますか? 

自分自身が心を開くことです。「元気?」など少し声をかけるだけでも違います。相手の表情は自分自身の心の状態の反映でもあるので、自分が心を開かないといけません。自分の表情を常にフラットにすること。言葉やコミュニケーションの問題ではなく、自分自身の心の持ちようです。この人、撮らせてくれるかな?と思っていては自然な表情を撮ることはできません。

エチオピア(写 真:アフリカ エチオピア連邦民主共和国) 

異国の地で過ごすには、危ないこともあると思います。独り旅の安全はどう確保していますか? 

警察にお金を取られたことはありました。ゲストハウスに泊まっても、そこの鍵は使わず自分の鍵を使います。カメラをベッドに縛ったり、カメラバッグを抱えて寝たりしていました。悪いことは自分のスキから起きます。スキを見せないこと、回避する能 力がある程度必要です。自分ができること、できないことの境を見極めることが大事です。

写真を撮るときは心を開くけど、寝泊まりの時はスキ見せちゃだめなんですね。

独り旅をしている 時に最も大変だったことはなんですか? 

肉体的、精神的、金銭的、様々な大変さがあります。3ケ月以上旅をすると、体は慣れて肉体的には楽になっていきますが、新鮮な刺激が無くなっていくので楽しみが減り、精神的に辛くなることがあります。

また、常に自分の場所にいない、自分の言語が使えない、自分のことを知っている人は誰もいない、この状態が続くとやはり精神的にはしんどいです。体は元気なはずなのに、精神的にやられてしまうと、その影響が肉体にも及んできます。

 竹沢さんの作品について伺います。谷川俊太郎さんと一緒に出版された写真集「今」ですが、どんな思いで作られたのですか? 

もともと谷川さんの詩が好きでした。3年間旅をして出版した「Walkabout」 を、ぜひ谷川さんにも見ていただきたいと思い、一冊送りました。その後、好意的な感想をいただいたので、イベントでの対談をお願いし、それがきっかけで写真集を出すことになりました。

谷川さんが「今」という詩を書き、私は、その詩に対して写真を当てはめていきました。世界中に同時進行している今がたくさんあります。

例えば、私の今、遊牧民の今、少数民族の今、色んな人の今が混在しているんですよね。それを私は、写真という目に見える今を切り取って並べていますが、谷川さんの今は、ものすごく内面的な意味での今です。写真は目に見える今、谷川さんの今は心の今あるいは感覚的な今、それを組み合わせています。そういった瞬間に出会った時の旅人の心の今、もしくはその瞬間に出会った人の心の今が「今」という詩に込められています。

私はこの詩に対してその人が見て感じている風景を切り取って写真に入れています。考えながら読んでほしいですね。 DSC_0162(写 真:『今』 写真:竹沢うるま 詩:谷川俊太郎)

 

お二人の“今”の 出会いも、写真集『今』をつくるきっかけになったのですね。 

キューバの写真集を出版されていますね。130ヶ国以上を周られて、キューバを選んだのはどうしてですか?

 3年間独り旅をした時に初めてキューバに足を運びました。今まで136カ 国訪れていますが一番独特な国がキューバでした。1959年のキューバ危機があり、アメリカからの経済封鎖により、お金、モノ、価値観がその時のまま、まるで昔にタイムスリップしたかのようでした。長旅を終え日本に帰った時に、もう一度行ってみたいなと思い再び1ケ月間行き、そのあと2,3回行きました。そういった矢先に、アメリカとの国交正常化交渉が始まったので、それが実現する前に今の古き良きキューバを記録に残したいと思い本にしました。

 

それはどういう独特さですか?

 キューバはスペインの植民地時代は裕福でした。コロニアル調(植民地時代の様式)の豪華な建物がそのまま残っていて、100年〜150年の時間の積み重ねが残されています。日本でしたら、古いものが新しいものに変えられていく、キューバにそのような変化がないので、歴史の積み重ねがそのまま残されています。日本ならモノや人が動くから新陳代謝があるのに、キューバは自己完結しています。

キューバはリゾー ト地で有名ですが、歴史的な建造物が沢山あることは知りませんでした。130もの国を訪れていますが、これから行ってみたい国はありますか?

 ありません。国ではなく、自分が感じたいものがどこにあるのか。それが東京にあるかもしれませんし、北極かもしれません。自分がやりたいテーマがそこに落ちているのか、結局旅は自分次第です。どこどこに行きたいではなく、どういう視点を持っていきたいかが大切です。ですが、自分が気になる国があるなら行った方がいいです。一つのきっかけとして自分の目で見に行くのは良いことで す。しかし、雑誌にも紹介されてみんながオススメする場所に行って、良いに違いないという考え方はしないほうがいいです ね。自分は違う場所が良いなと思うことは、素敵なことで、それを否定しないこと。自分自身の感覚に向き合えることができるのならどこを訪れてもいいと思います。

  自分の感覚を大事に受け入れるということですね。

 竹沢さん自身のポ リシーを教えていただけますか?

これといってありません。そういったものは大切かもしれませんが、視点を狭めることになると思います。自分の 進む道を決めると、落ちているものを見逃してしまうかもしれません。もちろん最低限譲れないことはあります。例えば、私は自分自身ではな くなることは避けたいです。自分自身が感じていること、考えていることに常に正直でいる。それさえキープできるなら、なんでも受け入れられます。人に合わせるとかではなく、自分は人と接するときに、楽しいときは楽しく、悲しいときには悲しくいたいですね。 

最後に、独り旅の 一番の魅力を教えてください。

 自分の感覚にきちんと向き合えることだと思います。孤独、感動、悲しさ、そういった感情の責任を全部自分がとらないといけない。感情の逃げ場所がないので、自分がそれを受け入れるしかありません。そういって感情をたくさん受け入れることによって人は成長していきます。誰かがいるとついつい話してしまい、それで満足したり、そういう部分で逃げ出したりしたくなるかもしれません。だから、相手の反応を気にせず、自分の中の感情に素直に向き合えることこそが一番の魅力だと思います。

 

竹沢さん、ありがとうございました!

 

(編集後記)

竹沢さんの考え方に感銘を受けました。どこに行くのかは国ではなく、感じたいものがどこにあるのか。まず旅先を選ぶ視点が全然違うんだなと思いました。異国の地に足を運ぶということは、肌の色、言葉、文化、様々なものが違い、自分の生活範囲の一歩外に出ることはそう簡単なことではありません。しかし、独り旅をすることはありのままの自分と向き合えること。そこでの出会いが自分を 成長させてくれるんだと教えていただきました。

 

〜著書紹介〜

「Walkabout」http://books.rakuten.co.jp/rb/12411932/

103ヶ国を旅し、280点 をまとめた写真集です。

・「BUENA VISTAhttp://books.rakuten.co.jp/rb/13278326/

最新作。キューバ独特の価値観 を表している写真集です。

「今」http://books.rakuten.co.jp/rb/13121177/

詩人の谷川俊太郎さんとの共作。目に見える「今」と谷川さんの内面的な「今」が組み合わさった写真集です。

HP:http://uruma-photo.com/

 Twitter:https://twitter.com/uruma_takezawa

Facebook:https://www.facebook.com/urumat  

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gakuseikichi

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