学生インタビュー

私たちにしかできないことを-困っている人を助けたい-/日本ソマリア青年機構

皆さん、ソマリアという国を知っていますか?

日本から遠く離れたアフリカの最東端「アフリカの角」と呼ばれる場所に位置する国、ソマリア―

ソマリアは1991年の中央政府の崩壊以来、21年間に渡り無政府状態が続き、国際機関も援助の手を延ばすことが難しい状態にあります。1992年と2011年の飢饉では、世界の飢餓史上最悪の死亡率を記録したと言われていました。2012年末に新政府が誕生したものの、現在も際限ないテロと餓死が発生し、多くの難民が生じている、世界最悪の紛争国の一つです。

 (参考)MOFA 外務省海外安全ホームページ, ソマリア, http://bit.ly/19oanpA , 2014/7/6

 

 

そんな国で困っている人々を助けようと、現地で活動している大学生がいます。

日本から遠く縁もゆかりもないアフリカまで行く、何が彼らの行動を突き動かしているのでしょうか。

日本ソマリア青年機構の代表を務める兼澤真吾さんにお話伺って来ました。

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兼澤真吾さん。東京大学工学部都市工学科3年生

日本ソマリア青年機構 / Japan Somalia Youth Organization
2011年発足、日本で唯一紛争地ソマリアに特化し、現地で活動を行っている国際協力団体。現地へは年に2回渡航。現在、ソマリアのユースギャングの社会復帰を支援するプロジェクトに力を注いでいる。ソマリア大使館から公認団体として認められており、日本とソマリアの両国家間の架け橋にもなっている。現在日本人メンバー25名、ソマリア人メンバー26名が所属。

 

行動原理となっているのは、学校に行きたくても行けない子どもとの出会い

―兼澤さんご自身が国際協力を意識され、この団体に入られたきっかけはなんですか?

「助ける」というとおこがましいですが、「困っている人を助けたい」という想いが根本にあります。高校1年生の時にフィリピンを訪れ、たくさんの子どもたちが学校に行きたくても行けない現状を目の当たりにしました。生まれて初めて「なぜ世界は不条理なのだろうか」と感じたことを覚えています。また、彼らと寄り添い問題を解決していこうとする神父さんの姿を目にし、「自分も人生を通じて何か自分にできることをしなくてはいけない」という使命感を覚えました。彼らの姿はそれ以来私の中で忘れられないものになっています。 大学生になり、現地で最も必要とされていることを、現地の人と共に実際に現地で活動しようと思っていた時に、この団体に出会いました。

―ソマリアは深刻な食料飢饉と紛争によって、治安が非常に悪いと伺っています。困っている人を助けたいといってわざわざ遠いソマリアを選ぶに至った経緯が、私には少し想像できないのですが。

最も支援を必要としている、最も手を差し伸べる必要がある国はどこだろうと考えた時に、ソマリアに辿り着きました。ソマリアは国際機関でさえ立ち入るのに躊躇してしまうような紛争地です。一方優劣をつけるわけではありませんが、支援のしやすい、手の付けやすいフィリピンにはたくさんの団体が支援しています。そして、本当に今手を差し伸べなければならない国が支援されていないという状況に歯がゆさを覚えました。フィリピンへ精力的に活動を展開している団体は既に多くいらっしゃるので、私は私にしかできないことをやろうと思いました。当団体も同じような視座から、私たちにしかできない取り組みでソマリアに対し活動をしています。

 

学生だからこそユースギャングと対話ができる―――

―日本ソマリア青年機構についてお聞かせください。 普段の活動において、どのようなことを大切に活動されていますか?

私たちの団体の理念にRealizationというものがあります。これには、「理解」と「現実化」という2つの意味が込められています。ソマリア人をただ困っている人という目で見るのでなく、ソマリアで起きている様々な現実と共に、彼らのバックグラウンドや潜在的な可能性に目を向ける、これが「理解」です。そして、そこで見出した自分たちにできる可能性を「現実化」していこうとしています。この理念に基づいて、僕らはソマリアの問題を解決すべく活動しています。

―では、実際にどういう活動をされているのですか?

年2回の現地での活動を中心とし、ソマリアの隣国ケニアにあるソマリア人移住区へ赴き、そこで最も必要とされていることに取り組んでいます。現在は、ユースという共通の立場からソマリアのユースギャングと治安問題を解決していこうと試みています。

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―ユースギャングとは何ですか?

15~29歳までの若者のギャングのことです。そもそも治安悪化の原因はギャングの存在にあります。彼らは将来テロリストになりうる可能性を持った存在として、地域のコミュニティから排除されてきました。私たちはソマリアの治安改善プロジェクトとして、この潜在的テロリストであるユースギャングを、社会を変革していく担い手として意識改革させようとしています。

この春に渡航してきて、彼らは、私たちのことを「自分たちの問題や状況、立場、想いに初めて耳を傾けてくれた存在だ」といって、自分の想いを聞いてくれと我先にやってきました。これを行うのが例えば国際機関などでは立場が違いすぎて、彼らも心を開くことは難しいのです。同じユースだからこそ、私たちが社会を担っていくよねと同じ立場で働きかけて、意識改革行動を起こすことができます。

実際にユースギャングの話を聞くと、彼らの背景には複雑な社会問題が存在していました。彼らは生活のために不法行為をせざるを得ない状況にあり、貧困のスパイラルから抜け出す手段はないとあきらめています。そこで私たちが彼らと話すことで、彼ら自身に自分は治安を脅かしている当事者であり、しかしながら同時に問題を解決していく当事者でもあるということを意識づけ、社会に対する不満を持っていても、自分から社会に対してアプローチしていかなければ解決できないことがあると訴えました。

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次の9月の渡航では、ギャングがユースとして社会を担っていく意識を持ち、実際に社会に対して行動を起こしていく場を作ろうと考えています。その後は、意識改革をして社会に主体的にアプローチするというものを一種の定式化し、多くのギャングをどんどん巻き込み、彼らが主体的に社会に対して歩みを進める(=積極的社会復帰)場を生み出していきたいと考えています。より包括的な取り組みへと発展できるこのプロジェクトは、大変魅力的なものではないでしょうか。

 

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ソマリアに対し活動する団体のメンバー-その熱意と覚悟-

―団体の魅力をお聞かせください。

メンバーに熱意を持った人が多いことだと思います。学生は、ここまでしかできないと自分に限界を作ってしまうことが多くないでしょうか。活動をしていると、私たちは学生であり様々な制約があり、多くの限界(=壁)にたびたび出会います。そうした時、その壁をいかにして乗り越えられるのか、なんとかして乗り越えていこうと考えるメンバーが数多くいる、それは特徴の一つだと思います。特にソマリアの現地メンバーは祖国をなんとかしたいと強い意志を持つメンバーばかりです。普段はなかなか会えませんが、遠い地で共通の目的のために活動する存在はお互いにとって刺激し合えるものとなっている、これは当団体の魅力の一つだと思います。

―兼澤さんにとって、今の活動のモチベーション/やりがいをお聞かせください。

私の中で、ソマリア人ユースギャングに何かできるのは自分しかいない、なんとかしなくてはという想いはモチベーションになっています。自分にしかできないという使命感を達成するために、自分にできる最大限をもって臨んでいます。専門性のない学生の私たちができることを模索していくことは、限界に挑戦していくということでもあります。限界にぶつかった時に、葛藤を感じながらも違うアプローチをとることで新しい切り口が見つかる、そういった過程には本当にやりがいやある種の楽しさを感じています。

―今後の団体の活動の展望をお聞かせください。

ソマリアの最前線で、ソマリアの困っている人の支えとなって一緒にアプローチしていきたいというのはこれまでと変わりません。前回の渡航で感じた、ここまではできる/ここまでしかできないかもしれないという壁をいかにして乗り越えられるか、私たちにできる最大限の取り組みを模索していきたいと思います。

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―最後に、後輩に対して一言お願いします!!

学生だからできない、若者だからできないじゃなく、今の自分だからこそできるものが誰しも必ずあると思っています。それを模索し続け、見つけたらそれに全力で向かっていけると素敵ではないでしょうか。

 

兼澤さん、ありがとうございました!!

今の自分だからこそできる最大限のアプローチで、困っている人を助けていこうとする、

彼らの動向に今後も注目です!!

≪Information≫

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日本ソマリア青年機構

高田馬場にて週一回ミーティングを行っている。 現地メンバーとは月1でスカイプミーティング。

6時間の時差を乗り越え、SNSを通じて連絡を取り合っている。

詳細はこちらから↓

HP / Facebook / Twitter

 

(編集後記)

ソマリアのユースギャングは生きるためにギャングに成らざるを得ませんでした。そういった不条理な現状に置かれている彼らの不満を社会的に認められるようなアプローチで解決しようとしているのが日本ソマリア青年機構の皆さんです。「社会に不満があった時に声を上げてアプローチしなければ解消できない、これからこの社会を担っていくのはユースなのだから」兼澤さんたちのユースギャングに向けたこの言葉は、私たち日本の学生にも向けられるようなものだと思いました。政治や教育、今置かれている環境に不満を持った時、学生の私ができることは何か。20代の選挙率って、とうとう40%きったそうです。個人的にまずは、選挙に投票しに行きたいですね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 (記事作成:荒川樹里 2014/8/8 掲載)

 

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